森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(4)


「今年はいつやるんだね?」大企業トップが1年近く前からプロアマの日程を空けて待っている

海外メジャーの「全英リコー女子オープン」、国内メジャーの「LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」二つのメジャートーナメントをスポンサードしてきたリコー。全英女子は今年限りで撤退したが、リコーカップに関しては、やめる、やめないの議論自体、俎上にすら上ることがないという。いずれも重要性、注目度ともに高いトーナメントだが、この違いはどこからくるのだろうか?

契約選手が優勝し感動的なフィナーレに

昨年、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに優勝したテレサ・ルーにカップを手渡すリコー社長の山下良則
昨年、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに優勝したテレサ・ルーにカップを手渡すリコー社長の山下良則 【拡大】
「ゴルフはその歴史と伝統の中で、さまざまなドラマを生み、人々に感動を与えてきました。自分自身との闘いという奥深さがある半面、老若男女すべてが一生かけてやれる素晴らしいスポーツだと思います。全英女子オープンという最高峰のプロトーナメントをスポンサードする意味は、そんなゴルフのすべてを支援できるチャンスととらえてきました」

 そう語る代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の山下良則(61)は、全英女子オープンからのスポンサー撤退をビジネス戦略における「再起動」と表現した。

 今年の全英リコー女子オープンは、イングランドの古い港街、サウスポートの北に位置するロイヤルリザム&セントアンズ ゴルフクラブで開かれた。目まぐるしく変化する天候、猛(たけ)り狂う雨風が、幾度となく世界のトッププロを苦しめてきた難コースだ。だが、リコーの冠のついた最後の4日間だけは違った。

 大会スタッフとして選手のアテンドをはじめ、トーナメントを切り盛りしてきた経営企画本部コーポレートコミュニケーションセンター所長の横山基樹(53)は、さすがに感慨深げだ。こう振り返った。

「全英では珍しく、4日間通して無風でよく晴れていました。全英らしくないといえるかもしれません。しかし、青天のおかげでギャラリーが6万5000人も入り、地元・イングランドのジョージア・ホールが優勝した。近年強い韓国人選手の優勝が決まりかけると、スタンドのギャラリーは減っていましたが、今年はむしろどんどん増えていきました。今年のロイヤルリザムは、やっぱりこの12年間で一番盛り上がりました。ジョージア・ホールはリコーがスポンサードをしている選手で、表彰式の挨拶(あいさつ)でもリコーに対する感謝の辞を述べてくれた。感動的なフィナーレでした」

 冠スポンサーのリコーにとって、全英女子オープンからの撤退は、どのような経営判断なのだろうか。そこについて社長の山下に聞くと、こうコメントした。

「インターネットを中心としたデジタル技術の発展によって、ビジネスのやり方、コミュニケーションの仕方がまったく違うものに変わってきています。リコーはそれをとらえ、2年前に『Empowering Digital Workplaces』という顧客提供価値メッセージを定め、デジタル時代に対応した事業運営への変革を目指しています。それに伴い、宣伝や広告の在り方も変えていきたい」

 リコーのグローバル戦略において、企業ブランドの価値を高めてきた全英リコー女子オープンは、ビジネス環境の変化により、一定の役割を終えたといえる。企業として次のステージに入るに当たり、ゴルフの冠スポンサーではなく、新たなマーケティングコミュニケーションの手法を導入する必要性を感じたという。

関連記事一覧

スペシャル最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

ツアー・トーナメント

フォトギャラリー

トーナメントプロ公式サイト・ブログ