森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(2)

生半可なイベントのスポンサーではない

2013年大会、オールドコース名物のスウィルカンブリッジの上で屈託のない笑顔を見せる森田理香子 写真・Getty Images
2013年大会、オールドコース名物のスウィルカンブリッジの上で屈託のない笑顔を見せる森田理香子 写真・Getty Images 【拡大】
 だが、それだけではない。それが山下のいった社員たちの自信なのかもしれない。横山は12回の全英リコー女子オープンのうち、半分の6回、現地で選手や招待企業のアテンドをこなしてきた。それだけに感慨深いものがあるようだ。

「歴史ある英国のメジャーで、最後に表彰式のカップを渡す役員がうちの会社の人間なんだと思うと、生半可なイベントのスポンサーではないんだ、と毎年感じてきました。世界のメジャーをスポンサードする意味は、他の人が思う以上にすごいことだ、これが世界のメジャーだ、と実感してきました。会場の雰囲気もそうですが、テレビではなかなか映らないR&Aや米LPGAの方の思いだとか、あるいは開催地となるゴルフ場の歴史であるとか……。準備段階からスポンサーとして現地に入ると、プライスレスの何かを感じるのです」

 印象深い出来事について尋ねると、やや興奮気味にこう話した。

「思い出はいっぱいあるのですが、この大会のために選手たちは血の滲(にじむ)ような努力をしています。そんな中でも僕個人としては、2013年、弊社所属の森田理香子がセントアンドリュースに来て同伴したときでしょうか。彼女は岡本綾子さんが師匠だったんですけど、岡本さんから『世界で活躍する選手になるために一人で行ってらっしゃい』といわれ、マネージャーもキャディも連れず、成田から一人で飛行機に乗ってきた。現地でセントアンドリュースのキャディをつけろ、とね」

 横山が、こう言葉を継いだ。

「僕がたまたまそのときの受け入れ係でした。彼女は大会前週の日曜日に入り、通訳としてキャディさんと引き合わせ、ウォーキング(コースのインスペクション)もしました。朝の練習から8日間ずっと、プロアマも本戦も一緒に回り、合計8ラウンドもつき添いました。試合を見ると彼女だけは日本人選手でも別格だと思いました。セントアンドリュースの450ヤードあるパー4を、5番アイアンのティショットと4番アイアンのセカンドでグリーンに乗せた。飛距離が出るだけでなく、そういうマネジメントができるのだと」

 13年のセントアンドリュースの戦いは、比嘉真美子と佐伯三貴の7位タイが日本人最高で、森田は65位に終わった。それも海外メジャーの厳しさなのだろう。しかし、森田はこの年の国内の賞金女王に輝き、横山にとって忘れられない大会となったという。

(文中敬称略・以下、次回)
Written by Isao Mori
※週刊パーゴルフ(2018年10月30日号)掲載


森功(もり・いさお)
1961年生まれ、福岡県出身。確かな取材力と筆力で真相を抉るノンフィクション作家。2008年『ヤメ検』、09年『同和と銀行』(ともに月刊現代)で2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。ゴルフ歴15年

※次回は2/19(火)更新予定


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