森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(2)


プロアマ招待客との取引は、軒並み2桁成長を記録した

12年続いた全英女子オープンとの冠スポンサー契約を今年で終了したリコー。撤退の理由は、グローバル市場での知名度アップ、世界的大企業へのアプローチなど、所期の目的を達成したからだという。しかし、効果はそれだけではなく、海外メジャーのスポンサーをすることは、社員のモチベーションにも影響を与えたようだ。

CEOのドアをノックする武器に

「日系企業として、海外のメジャートーナメントの冠スポンサーを12年間やり切った。リコーが、グローバル企業であることをお客さまに訴求できたと考えています。ゴルフ関係者や選手たちからは、『リコーがスポンサーをしてから、女子のメジャーの格がどんどん上がってきた。毎年、この全英女子に来るのが大きな夢となっている』とまでいっていただけました。これらは紛れもなく、大きな実績だと自負しています。しかし、それだけではありません。社員たちの自信にもなりました」

 社長の山下良則(61)が、そう胸を張った。

 日本企業のトップが、ゴルフ発祥の聖地で優勝者にカップを渡す――。「全英リコー女子オープン」の運営に携わってきた経営企画本部コーポレートコミュニケーションセンター所長の横山基樹(53)をはじめ社員たちは、その瞬間を誇りとして抱いてきた。と同時に、企業戦略の一環としてトーナメントを営業ツールとしても使ってきた。前回で書いたように、リコーでは全英リコー女子オープンに先立つ2年前の2005年、社内にグローバルサービスチームを立ち上げ、本格的な世界戦略に乗り出した。

「リコーは日本のオフィス機器メーカーでは唯一、世界にオペレーション機能を持ってきました。グローバルサービスチームはこれを発展させ、米国、欧州、アジア、中国、日本の5局(現在は4局に改組)に、優秀な営業マンを配置し、それぞれ連携して事業を展開しました。バックオフィスやマネージャーを含めると、チームは200人ほどの組織。単なる物売りの営業ではなく、グルーバル企業トップとのコミュニケーションやグローバルな商談を目指しました」

 と、横山。ただし日本のいち営業マンが、世界的企業の扉をノックし、CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)にアプローチするチャンスは滅多(めった)にない。それを可能にした最大のツールが、全英女子オープンだったといえる。目に見えて分かりやすいのは、プロアマを通じたトーナメント招待客相手の取引だが、海外メジャーは、スポンサー企業にそれ以外の波及効果をもたらす。横山の説明。

「もちろんゴルフだけが要因ではないけれど、おかげでこの12年間、グローバルビジネスは伸びました。例えば全英リコー女子オープンに招待した企業相手の売り上げを調べたところ、ずっと2桁成長以上の伸びを示してきました。グローバルサービスという大手企業との取引が成功すれば、商品をたくさん販売できる。すると、大量生産が工場のランニングコストを下げる、あるいは大手とのコミュニケーションを通じて、先進ニーズを把握できる。勢い商品開発にもつながる……」

 さらに横山が続けた。

「あとは広告効果です。リコーが冠スポンサーである、とメディアに露出してきました。ある計算式に当てはめ、例えばロゴが何秒映ったとか、画面のどの位置に出たとか、どの地域に出た、といった点を分析すると、その広告効果が表れます。むろんそれは一つの物差しにすぎませんが、われわれは一定の効果が上がったと考えています」

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