森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(1)

中小企業中心の取引から多国籍企業をターゲットに

 そんなリコーが乗り出した世界メジャートーナメントの初回、07年の開催地は聖地・セントアンドリュースだった。そもそもなぜ、海外メジャーに触手を伸ばしたのか。社長の山下の言葉を補うように、経営企画本部コーポレートコミュニケーションセンター所長の横山基樹(53)が説明してくれた。

「もともとリコーは、(国内の)中小企業取引に強みのある会社だったんです。それが、2000年代に入り、他企業の買収をしながらグローバル企業を目指すようになりました。オフィス機器の世界企業といえば、かつてはゼロックスでしたが、そこに追いつこう、と。そのためには販売網のインフラ整備をしなければならない。その戦略的な動きとして、05年にリコーグローバルサービスと銘打った部署を立ち上げ、目指したのがフォーチュングローバル500(FG500)へのアプローチでした」

 世界の名だたる企業と取引するため、会社としての認知度を上げようと取り組んだ。グルーバル戦略の目玉が、全英女子オープンのスポンサードだったのである。

「フォーチュン誌が発表したFG500の内訳は、大まかにいって米国企業と欧州企業がそれぞれ200社で、日本は100社ほどが入り、売り上げを競ってきました。リコー社内に、そのFG500でCEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)を務める、いわゆるCレベルのトップランクの経営陣にどう接触するか、検討プログラムを立ち上げた。そのとき、たまたま全英女子オープンのスポンサーを探しているというお話が飛び込んできたのです」

 横山が、こう続けた。

「戦略のポイントは二つ。日本の国内ツアーでも同じですが、一つはプロアマを使ったコミュニケーションです。もう一つが、マーケティングにおける企業認知です。やはり世界のメジャーに冠を持つと、テレビを含めたメディア露出の宣伝効果が抜群ですから。やはり世界のメジャーは全然違います。それをわれわれは実感してきました」

 ゴルフの聖地で開催される海外メジャーの大会で、優勝杯を渡すのが、日本のリコーの社長――。大会運営に携わってきた社員たちは、その瞬間が忘れられないのだと口々に話した。

(文中敬称略・以下、次回)
Written by Isao Mori
※週刊パーゴルフ(2018年10月23日号)掲載


森功(もり・いさお)
1961年生まれ、福岡県出身。確かな取材力と筆力で真相を抉るノンフィクション作家。2008年『ヤメ検』、09年『同和と銀行』(ともに月刊現代)で2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。ゴルフ歴15年

※次回は2/12(火)更新予定


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