森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 全英リコー女子オープン&LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ「世界のメジャーから12年目の“卒業”」(1)


グローバル企業のトップ500社にアプローチするツールとしてメジャートーナメントを活用した

トーナメントを成功に導くべく奔走する企業人の姿を描く本連載。今回から取り上げるのは、リコーが冠スポンサーを務めてきた二つのトーナメント。海外女子メジャーの「全英リコー女子オープン」と国内女子メジャーの「LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」だ。全英女子に関しては、昨年12年目にして冠スポンサーを終了したが、海外、国内ともにメジャー大会をサポートする狙いとは?

全英女子のスポンサーを撤退した理由とは?

一昨年4月にリコーの代表取締役社長兼CEOに就任した山下良則
一昨年4月にリコーの代表取締役社長兼CEOに就任した山下良則 【拡大】
 ゴルフ界の総本山と呼ばれる英国のR&Aが主催するメジャートーナメントが、「全英リコー女子オープン」である。そのR&Aが、昨年8月1日、リコーの撤退を発表した。日本を代表する事務機器メーカーが12年続けてきた世界のメジャートーナメントの冠スポンサーを昨年限りで降りるという。ゴルフ界にとって、そのインパクトは大きい。

 昨年3月期の連結決算で1156億円の営業赤字を計上したばかりだけに、やはり苦しい台所事情から撤退するのか。そんな観測も流れた。それを決めたのが、一昨年4月1日、代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)に就任したばかりの山下良則(61)だ。まずは、撤退理由について、当の山下本人に聞いた。

「新社長としてリコーを変革するために『再起動』を掲げ、過去の負の遺産との決別、構造改革の推進、新たなビジネスモデル開発と、今までのリコーとは違う『変革』を推し進める必要がありました。その中で、イベントを含めたマーケティング活動の見直しをし、12年間継続し、一定の成功を収めた全英リコー女子オープンは『卒業』をして、新たな施策に投資をしていきたいと判断しました」

 ハイテクメーカーだけに「再起動」という絶妙な言い回しをする。あくまで経営不振によるリストラクチャリング策の一環ではなく、新たな経営戦略構築のためだという。その一方で、山下はこれまで全英リコー女子オープンがもたらした企業メリットについて、こう評した。

「全英リコー女子オープンは、ブランド認知と、顧客関係強化という観点から大きな効果がありました。負の部分については、思い当たるところがありません」

 リコーが冠になる前の全英女子オープン(Women's British Open)は、1976年に始まった。日本のファンにとっては、岡本綾子が優勝した84年大会が印象に残っているだろう。94年から2006年までの間は、ケロッグなどと並ぶシリアル食品メーカーが冠についた「ウィータビックス全英女子オープン」で、01年からメジャーに昇格した。男子ツアーと異なり、女子の海外メジャーは全米女子オープン以外、冠を許されているので、スポンサー企業にとっては、極めて宣伝価値の高いスポーツイベントといえる。リコーは07年以降、ウィータビックス全英女子オープンを引き継ぎ、今日に至っている。連載1回目は、昨夏、ゴルフ界を揺らした全英リコー女子オープンにおけるリコーの歩みから始める。

“リコーのリコピー”のキャッチフレーズに代表されるオフィス機器のリコーは戦前の36年、市村清が理化学研究所の理研陽画感光紙の製造を目的とし、理研コンツェルン傘下の「理研感光紙株式会社」として創業した。戦後の財閥解体を経た後、63年にかつての社名を略してリコーとなる。その社歴を生かした国内の強力な販売網を駆使し、オフィス機器販売で飛躍してきたのは周知のとおりである。

関連記事一覧

スペシャル最新記事一覧

Pargolf Members

すでに会員の方はこちら

最新トピックス


アクセスランキング

ツアー・トーナメント

フォトギャラリー

トーナメントプロ公式サイト・ブログ