森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント マイナビABCチャンピオンシップ「“第二の創業”へのエンジン」(5)

きちんと営業をすれば、力のある企業は引き受ける

 中川は、ゴルフトーナメントに限らず、冠スポンサーになる広告の費用対効果をはっきり意識している。例えばプロボクシングなどもそうだ。中川は冷静に分析する。

「試合のときのアナウンスマイクにもマイナビのロゴを入れてもらっていますが、それより宣伝効果が高いのがグローブですね。(ミドル級の)村田諒太選手の試合はマイナビ一色で放映されるんですけど、グローブにマイナビとつけたら、目立ちましてね。村田選手の試合といえども、会場の観客は1万人ぐらい。プロ野球の巨人戦においても、4万人強の観客です。でも、テレビ中継される村田選手の世界戦でのグローブは2000万人が見ていますから、その効果は格段に大きいのです」

 広告効果に対するシビアな目を持っているだけに、トーナメントに対する注文もある。マイナビの中川は、かつてJGTO(日本ゴルフツアー機構)にも、男子のホスピタリティがなっていない、と苦言を呈し、それが業界内で評判にもなった。

「皆さん感じてらっしゃると思うんですけど、例えば青木(功)さんや中嶋(常幸)さん、石川遼選手が適切に営業をしていけば、力のある企業さんはトーナメントのスポンサーを引き受けてくれると思うのです。年間何百億円の宣伝予算を使っている会社にとっては、ツアートーナメントの費用は出せないことはない。ところが、その営業を疎(おろそ)かにしていると思えます。私が営業出身だからこそ強く思うことかもしれませんが、例えばせっかくトヨタさんにレクサスのトーナメント(ザ・チャンピオンシップ・バイ・レクサス)をつくってもらっても、人気選手が出場せずに3年で終了してしまった。応援しようとしている企業も、考えてしまいますよ」

 くしくもレクサス選手権はマイナビチャンピオンシップと同じ2008年に始まり、わずか3年で幕を閉じてしまった。

「当時は僕も自分のところだけじゃなく、もっと男子プロのトーナメントが増えることを期待していたのです。しかしトヨタさんもキヤノンさんもパナソニックさんも、3社ともやめてしまいました。パナソニックさんは16年からまた新たに始めましたけど、もし日本ゴルフツアー機構が民間の会社だったら、社員を食わせていけないような状態です。その割に危機感がない。しっかり営業していたのは池田勇太選手くらいじゃないですかね。やはりもう少し考えなければ」

 あれだけ熱心だった中川は、JGTOに対し、手厳しく警鐘を鳴らした。

(文中敬称略・この稿、了)
Written by Isao Mori
※週刊パーゴルフ(2018年9月4日号)掲載


森功(もり・いさお)
1961年生まれ、福岡県出身。確かな取材力と筆力で真相を抉るノンフィクション作家。2008年『ヤメ検』、09年『同和と銀行』(ともに月刊現代)で2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。ゴルフ歴15年

※次回は2/5(火)更新予定


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