森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント マイナビABCチャンピオンシップ「“第二の創業”へのエンジン」(3)


朝日系列局のトーナメントを、元毎日系列のマイナビが救うという珍事

マイナビABCチャンピオンシップはそれ以前の5年もの間、冠スポンサーなしでの開催を強いられていた。かつてはフィリップモリスチャンピオンシップとして国内有数の賞金総額を誇るビッグトーナメントとして知られた大会だけに、主催の朝日放送の負担は相当なもの。そこに助け舟を出したのがマイナビであり、朝日新聞系列の放送局と元毎日新聞系列の企業が手を組んでトーナメントを運営するという珍しい出来事だった。

同じ系列のKSBカップで石川が優勝したのが縁

2007年のマンシングウェアオープンKSBカップでアマチュアでのツアー優勝を果たした石川遼
2007年のマンシングウェアオープンKSBカップでアマチュアでのツアー優勝を果たした石川遼 【拡大】
 マイナビが社運を懸けた2008年11月のマイナビABCチャンピオンシップで優勝を飾った石川遼は、甲子園で活躍した野球の「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹に倣い、「ハニカミ王子」と呼ばれた。そのゴルフ界の新星をトーナメントに出場させたのが、主催者である朝日放送(ABC)の鳥海久慎(52)だ。イベント事業部課長だった鳥海は、トーナメントを成功に導いた立役者の一人だといえる。現在は、系列のCS放送チャンネル「スカイA」に出向し、編成全般を担当している。

「私自身は07年にフランキー・ミノザが優勝した大会からトーナメントにかかわっていますが、それまでの5年間は冠スポンサーがなかった。そこへマイナビさんの話が持ち上がり、喜んだのを覚えています。ちょうど07年のマンシングウェアオープンKSB(瀬戸内海放送)カップで石川選手がアマチュア優勝しましてね。KSBは私どもと同じANN系列の放送局で、そのころから私も彼のところに足を運んだ。で、1年間を経てうちの大会に出場してもらったのです」

 鳥海が10年前の出来事を、そう懐かしんだ。前回までに書いてきたように、人気が低迷していた男子ゴルフトーナメントへの投資は、マイナビにとって大きな賭けでもあった。その成否のカギを握っているのが、石川の出場であり、ある意味、スポンサーになる必須条件でもあったのだろう。

 一方、この時期、ABCにとっては、ゴルフトーナメント存続そのものが危機を迎えていた。本欄で紹介してきたように、トーナメントの冠になる企業のありさまは、日本の産業界における栄枯盛衰の映し鏡だ。古くは自動車やタイヤメーカー、バブル期は建設や不動産業界、その後の消費者金融やパチンコ――。冠スポンサーの主流は、時代時代に応じて変化してきた。

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