森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント マイナビABCチャンピオンシップ「“第二の創業”へのエンジン」(2)


石川遼のウィニングパットが、会社の命運を分けると中川は直感した

マイナビ(当時の毎日コミュニケーションズ)がゴルフトーナメントへの冠スポンサー提供を検討し始めたのは、サービスのブランド名を「マイナビ」に統一した2007年のこと。当時の男子ツアー人気はどん底だったが、彗星のように現れた石川遼が事態を一変させる。翌年にはトヨタ、パナソニック、キヤノンといった超一流企業が新規トーナメントを立ち上げ、マイナビも同時期にABCチャンピオンシップの冠として名乗りを上げた。

将棋の棋戦で初めてブランド名を冠に

 マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメントは、マイナビという主力商品のブランド力を高め、それがやがて会社の知名度を上げた。広報部長の鳴海雅子は数字を挙げながら、冠イベントの宣伝効果の実感を語った。

「2006年の社名の認知度調査では、毎日コミュニケーションズを知っている人は50%ほど。07年3月に商品をマイナビブランドに統一し、翌08年にトーナメントを始める前までは、まだ会社そのものが世間に浸透しておりませんでした。そこから次第に上がってきて、今は調査対象にもよりますが90%ぐらい。9割近くの方がマイナビという名称をご存じです」

 マイナビにとって冠つきの主催事業の第1弾は、ゴルフトーナメントではなく、「マイナビ女子オープン」という女流最高峰棋戦だった。その女流棋戦創設に当たり、故・米長邦雄会長をはじめとする将棋連盟幹部との折衝に当たった一人が鳴海である。

「弊社では06年4月に広報部ができ、さらにその年の秋口から社長の中川(信行)が社内横断的に20人ほどのメンバーを選んでブランド統一事業としてプロジェクトチームが発足。ブランドロゴを開発し、それを取締役会に諮るチームの取りまとめを、当時の上司、神田貴彦社長室長としておりました。弊社はゴルフのステップ・アップ・ツアーのような将棋のレディーストーナメント戦を20年間主催し、『週刊将棋』というタブロイド版の将棋新聞を1983年から販売・発行してきました。そんな関係から、これまでのレディーストーナメントを正式な女流棋戦に格上げし、そこに初めてマイナビという冠をつけたのです」

「竜王」「名人」「王位」などを例に挙げるまでもなく、従来は男女問わず企業や商品の名称つきの棋戦はなかった。今でこそ「ヒューリック杯棋聖戦」や「リコー杯女流王座戦」「霧島酒造杯女流王将戦」といった企業名の棋戦はあるが、商品ブランドが冠になっているものはいまだ存在しない。女流棋戦をブランド統一事業と位置づけるマイナビは、ブランドを浸透させるため、冠にこだわったわけだ。当然日本将棋連盟はいい顔をしなかった。

「将棋連盟とはけっこうタフな交渉でした。また当初はNHKさんなどニュースでも、単なる女子オープン、とマイナビを外して報道されていました。それで報道の皆さんに『マイナビ女子オープンが正式名称です』と地道に説明に上がりました」

 と、鳴海。この史上初の冠つき棋戦では、対局ごとに懸賞金を出すシステムも導入。これも棋戦では初めての試みで、優勝賞金も女流棋戦として最高金額の500万円に増やした。

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