森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント スターツシニアゴルフトーナメント「縁をつなげてきたシニアのパイオニア」(3)

恩人である町工場の社長がゴルフを教えてくれた

 そんな村石にとっての恩人が、墨田区から江戸川区に越してきた「辻工作所」という小さな鉄工所の社長だった。村石は大胆な面もある。

「従業員が20人そこそこのビルの鉄骨会社です。社長の息子3人が僕と同じような年格好で、社長が随分かわいがってくれましてね。それで『担保もないけど会社の設立資金を貸してくれませんか』と相談したのです。すると、『分かった』と一発でOKでした。そうして800万円を一人で出してくれたのです。社長は『その代わり、もし失敗したら俺のところで働いてよ』という。実際に駄目だったら、辻工作所で営業や総務の仕事を任せようと考えていたみたいです」

 図らずも、村石がゴルフに目覚めるきっかけをつくったのも、この辻工作所の社長だったという。

「社長がゴルフ好きで、『久ちゃん行こう』と誘われ、当時、東雲にあったゴルフ場に通うようになりました。朝の9時から12時半まで手押しカートでラウンドしたり、午後3時からハーフを回ったり……。銀行の支店長もしょっちゅう遊びに来ていて、社長からゴルフを教わりました」

 おかげでゴルフの腕前がメキメキ上がり、30年後の公式ハンディは11、ハーフならプロと互角に渡り合った時期もあるとか。笑顔を絶やさず、村石が語った。

「昔、大和銀行の融資先だった会社がつぶれたことがありましてね。銀行の支店長から『久ちゃん、継続さえしてれば、チャンスは必ずくるからな。とにかく継続する会社を目指しなよ』という教訓を叩き込まれました。それが今に通じていると思います」

 いまや55万戸を超える住宅を管理するスターツの村石は、肩の力を抜いた堅実な経営をゴルフトーナメントに生かそうとしてきた。

(文中敬称略・以下、次回)
Written by Isao Mori
※週刊パーゴルフ(2018年6月19日号)掲載


森功(もり・いさお)
1961年生まれ、福岡県出身。確かな取材力と筆力で真相を抉るノンフィクション作家。2008年『ヤメ検』、09年『同和と銀行』(ともに月刊現代)で2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。ゴルフ歴15年

※次回は12/18(火)更新予定


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