【GOLF、今この人に聞きたい!】 第127回:眞木吉信さん

 10月2日号の特集記事内容を忘れてしまった方のために、ここで簡単に振り返ろう。スタートホールでプレーヤーの咬合力を測定する。次にティショットのヘッドスピードとボールスピードを計測、飛距離を出した。ハーフ終了後に9ホールのスコア、入れ歯の有無や一日の歯磨き回数など、口腔の手入れの状態を聞き取り調査した。調査対象人数はアマチュア66人。その結果、咬合力が弱い人と強い人ではドライバーでおよそ30ヤードの飛距離の差があり、スコアもハーフで4打の差がついた。

 「私が一番驚いたのは、この集団では50代、60代、70代と年齢が高い群ほど咬合力が強かった点です」

 一般論としては年齢が上がるほど咬合力は弱まる。しかしこの調査のデータを見ると、50代の平均よりも70代の平均のほうが高い。しかも、その差は20%もある。ここから推測できることは、噛む力の強い人が70代までゴルフを続けられる体力があるということだ。もう一つ注目すべき点は入れ歯の有無と咬合力の関係。年齢を問わず、入れ歯があると咬合力が30%ほど落ちてしまうことである。

 「あるビジネスマン向けの雑誌に、〝若いうちにやっておきたかったと思う健康習慣は?〞と、50代以上の人たちに聞いたアンケートが載っていました。その中で歯の検診がかなり上位にきていました。やっぱり歯がダメになるといろいろ問題が出てくることを体感しているのでしょうね」

 これはゴルフがうまくなりたい、長く続けたいと考えている読者にとっては真剣に検討すべき問題である。先生、対策を教えていただけますか?

 「フッ素を使ってください。虫歯予防に関しては、唯一効果が実証されているミネラルです。歯磨きだけでは虫歯は予防できません」

 フッ素には医学的に実証された3つの効果がある。一つは再石灰化の促進。歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を促進する。二つ目は歯質強化。歯の質を強くして、酸に溶けにくい歯にする。3つ目は細菌の酸産生抑制。歯ブラシで落としきれなかった歯垢中に潜んでいる虫歯原因菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑える。

 「最近は高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉をスーパーマーケットで気軽に買えるようになりました。また洗口剤も有効です。300ミリリットルの容量で売られているものがありますから、一日1回寝る前に使えば30日持ちます」

 眞木さん自身もゴルフでは飛距離を追求し続けている。週に一度は練習場を訪れ、300から400球を打つという。

 「自宅の近所に1000円で打ち放題の練習場があるんです。打席に立ったら、まずドライバーから打ちます。最低でも30球、だいたい100球くらい打ってから、他のクラブの練習に入ります」

 眞木さんがゴルフを始めたのは40代後半。まったく予備知識なし、練習もなしで誘われたコンペに出かけたのが初ラウンド。集合するとみんなビシッとゴルフウェアを着ていて驚いた。

 「私、ジャージで行ったんですよ。ずっとテニスをやってましたから、同じだと思い込んでまして(笑)」

 初ラウンドのスコアは散々な結果となり、それを見かねた友達がレッスンをしてくれることになった。

 「千葉のコースでクラチャンを取ったこともある友人です。彼がね、ゴルフはまず飛距離です。飛距離で優越感を持ってください、っていうんです。スコアも大事だけど、やっぱり飛ばないと悔しいからね」

 噛む力があれば飛距離も出るしゴルフを長く続けられる。また入れ歯になると、さらにゴルフのパフォーマンスは下がる。

 咬合力と飛距離の相関は明らかになったが、実はまだマウスピースと飛距離の関係の検証は手つかずの状態にあるそうだ。

 左右の噛む力のバランスと球筋の関係など、まだまだ調査してみたいテーマは山ほどあるという。もし科学的に相関ありということになった場合、R&Aはルールブックをどう書き換えるのだろうか。


眞木吉信さん(まき・よしのぶ)
1954年生まれ、山形県出身。東京歯科大学卒業後、スウェーデン・ルンド大学留学を経て現職。ライオン歯科衛生研究所東京デンタルクリニック院長などを兼任。日本老年歯科医学認定医であり指導医。『フッ化物をめぐる誤解を解くための12章』(医歯薬出版)などを執筆。ベストスコアは80。「前半、30台が出て“これなら70台が出るぞ”と思っていたら、最後のパットを外して80。まずは70台を出すことが目標です!」

今回の調査をきっかけにゴルファーは歯を大切にしてほしい今回の調査を行った眞木さんが、感じたことがある。

 「プロ野球やプロサッカーのチームには“チームデンティスト”という専属の歯科医がいます。歯のチェックはシーズンオフが中心になりますから、ジ ャイアンツ(東京読売巨人軍)は本拠地の東京と、キャンプ地の宮崎にチームデンティストを置いていたと聞きます。ゴルフは個人競技ですからなかなか難しいとは思いますが、ツアー選手の皆さんが定期的に歯科医のチェックを受けなければと意識することで、パフォーマンスアップにつなげてもらえるようになればうれしいです」

 写真は、調査を行った小誌「80GOLF祭」で参加者をレッスンした女子プロたちと。表彰式前には講演も担当した。


週刊パーゴルフ(2018年10月30日号)掲載 / 写真・鈴木健夫

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