【GOLF、今この人に聞きたい!】 第127回:眞木吉信さん

  噛む力が強い人のほうが、ヘッドスピードは速いし、スコアもいいんです。昔から疑問に思っていたことへの答えが少し見えてきましたね」

 眞木さんが噛む力と飛距離との関係に注目するきっかけとなったのは、タイガー・ウッズが舌を少し出してインパクトを迎えているというニュースを目にしたことである。人間は力を入れるときには、ぐっと奥歯を噛み締める。また奥歯を噛み締めたほうが力が出る。当時はツアー選手の中でも圧倒的な飛距離を誇っていたウッズが力が入らない行動を意図的にしていたのは、歯科医師として不思議なことだった。

 「その一方で、やっぱりセオリーどおりの意見もあるわけです。ほら、尾崎直道選手がマウスピースを使って失格処分を受けた事件があったでしょ。これに関しては、ゴルフのルールは不思議だなと思いましたね」

 覚えている方も多いだろう。2012年の東建ホームメイトカップ初日のホールアウト後、尾崎選手が「マウスピースをしていると飛距離が出る」との主旨の発言をしたことが競技委員に問題視され、失格となった事件のことである。失格の理由はゴルフ規則14‐3「人工の機器と異常な携帯品、携帯品の異常な使用」に抵触するというもの。ルールブックにマウスピースの使用が違反とされているわけではない。だからマウスピースの使用そのものが問題となったわけではない。プレーに有利になる意図を持って使用したことがルール違反というわけである。別のたとえでいえばサポーターを使うに当たって関節が痛いからという理由で試合中に使うのをと咎がめられることはないが、ヒジの角度が決まるから、オーバースイングを矯正するため等の理由で装着するのはルール違反である。だから尾崎選手が噛み合わせの矯正や噛み締めの圧力から歯を守るためだと主張するか、または黙っていたら、ルールに抵触していなかったことになる、とJGTOの示した見解が記録に残っている。

 「道具ではなく意図が問題である、といわれても、マウスピースはルール違反という印象になってしまってますから、ゴルファーは試合でマウスピースは使いにくいでしょうね」

 他のスポーツではマウスピースはよく使われている。もちろんボクシングのように歯を守るためという明確な目的を持って装着が義務づけられているスポーツもあるが、多くの競技は必ずしもそうではない。例えばマウスピースを使うプロ野球選手は多く、その影響か甲子園球児の中にも装着者がちらほら見られる。私も今年の甲子園で話題になった金足農業高校の吉田輝星投手の真っ白な口元は、とても気になっていた。

 「ただ、そもそもの問題として、マウスピースを使うと本当に飛距離が伸びるのか、実証結果は今のところ存在しないんです」

 え、そうなんですか? ということは迷信とか、おまじないとかの類いなんでしょうか……。

 「そこまではいいません。使用者は効果を体感しているからこそ使っているのだと思います。ただ、科学的に証明されるだけのデータが集まっていないというだけです」

 その理由は検証が非常に難しいからだそう。噛んでいる力と、その他の筋肉の動きをスポーツ選手が動いている中で測定するのは難易度が高い。

 「同じ理由で噛む力と飛距離についても分かっていませんでした。ですからパーゴルフと共同で行った私の調査は世界初だといえます」


他のスポーツではOKのマウスピースが、ゴルフではダメなのが不思議でした

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