
日本オープンでまたもアマチュア界から新星が現れた。今年の日本学生覇者で日本大学2年の桂川有人だ。
第2ラウンドのバックナインで30をマークして65で回るなど、通算8アンダーの単独首位で予選通過。詳細な資料の残る1985年以降では、アマチュアが首位で予選を突破したのは初めて。結果的には33位タイに終わったが、光るモノを見せた。
桂川は、アジア・パシフィックアマチュア選手権を制してマスターズと全英オープンの出場権を獲得した金谷拓実(東北福祉大2年)と同学年の1998年生まれ。現在、女子ツアーで活躍中の黄金世代と同い年だ。
通信制のルネサンス豊田高校に在学中の3年間、プロになることを目指して知人の紹介でフィリピンに渡り、武者修行したという異色の経歴を持つ。ジャック・ニクラス設計でフィリピンを代表するチャンピオンコースのマニアサウスウッドG&Cの近くに拠点を置き、1週間で平均4~5ラウンドするなどゴルフ漬けの毎日を送った。
同ゴルフ場はフィリピンのトッププロが練習に来る場所で、日本ツアーでも活躍するアンジェロ・キューやジュビック・パグンサンとラウンドを共にしたり、日本ツアー通算7勝を誇るフィリピンの英雄、フランキー・ミノザと食事をする機会もあったという。
「キューさんやパグンサンさんは、リズムなどを見ているだけで勉強になります。また、ショットが曲がっても、パーやバーディで上がってくるのが自分とは違うと感じました」
戦略性の高いコースや練習施設、トッププロとのラウンドなど、恵まれた環境で力をつけた。桂川のキャディバッグの中にも、こだわりがうかがえる。ドライバーの次のクラブが17度のいわゆるバッフィ(4番ウッド)。これは高校3年時からだ。
「ウェッジで打つ距離からは、2打で上がりたい」という狙いから、52度、58度のウェッジ2本から、50度、54度、58度と3本に増やした。その代わりにフェアウェイウッドは3番と5番の2本から、その間の4番ウッド1本に絞った。
追加した54度のウェッジはグリーン周りのアプローチや100”110ヤードの距離で重宝する。ウェッジを3本態勢にしたことで「ショートゲームが楽になった」。
身長167センチと小柄なほうだが、ドライバーショットは平均280~290ヤードを誇り、ショートゲームの精度が上がったことで今年の日本学生のほか、昨年は、朝日杯、文部科学大臣杯などの大学タイトルも獲得している。
高校卒業後はアジアンツアーのQTを受けてプロ転向することも考えたが、「社会勉強だったり、ゴルフ以外のこともやってみたかった」と、日本大学に進学。2年後の卒業時には、慣れ親しんだアジアンツアーに目を向けている。
「今の自分はアイアンショット以降で勝負しています。今後はティショットに不安があるので精度を上げたいですし、ショートゲームもまだまだ差を感じます。そこをもっと磨いていきたい」
プロと同じ土俵で戦い、あらためて差を感じた部分もある。先週は日本ツアー出場2戦目のブリヂストンオープンでもきっちり予選を通過。「将来はプロになってメジャーで優勝したい。一番はマスターズです」という志を持つ。「出るからには優勝したい」とプロアマ問わず、どんな試合においても優勝への意欲が高い。まだまだノビシロたっぷりの20歳。金谷とともに女子に負けない黄金世代を引っ張る逸材だ。
(本誌・小高拓)
第2ラウンドのバックナインで30をマークして65で回るなど、通算8アンダーの単独首位で予選通過。詳細な資料の残る1985年以降では、アマチュアが首位で予選を突破したのは初めて。結果的には33位タイに終わったが、光るモノを見せた。
桂川は、アジア・パシフィックアマチュア選手権を制してマスターズと全英オープンの出場権を獲得した金谷拓実(東北福祉大2年)と同学年の1998年生まれ。現在、女子ツアーで活躍中の黄金世代と同い年だ。
通信制のルネサンス豊田高校に在学中の3年間、プロになることを目指して知人の紹介でフィリピンに渡り、武者修行したという異色の経歴を持つ。ジャック・ニクラス設計でフィリピンを代表するチャンピオンコースのマニアサウスウッドG&Cの近くに拠点を置き、1週間で平均4~5ラウンドするなどゴルフ漬けの毎日を送った。
同ゴルフ場はフィリピンのトッププロが練習に来る場所で、日本ツアーでも活躍するアンジェロ・キューやジュビック・パグンサンとラウンドを共にしたり、日本ツアー通算7勝を誇るフィリピンの英雄、フランキー・ミノザと食事をする機会もあったという。
「キューさんやパグンサンさんは、リズムなどを見ているだけで勉強になります。また、ショットが曲がっても、パーやバーディで上がってくるのが自分とは違うと感じました」
戦略性の高いコースや練習施設、トッププロとのラウンドなど、恵まれた環境で力をつけた。桂川のキャディバッグの中にも、こだわりがうかがえる。ドライバーの次のクラブが17度のいわゆるバッフィ(4番ウッド)。これは高校3年時からだ。
「ウェッジで打つ距離からは、2打で上がりたい」という狙いから、52度、58度のウェッジ2本から、50度、54度、58度と3本に増やした。その代わりにフェアウェイウッドは3番と5番の2本から、その間の4番ウッド1本に絞った。
追加した54度のウェッジはグリーン周りのアプローチや100”110ヤードの距離で重宝する。ウェッジを3本態勢にしたことで「ショートゲームが楽になった」。
身長167センチと小柄なほうだが、ドライバーショットは平均280~290ヤードを誇り、ショートゲームの精度が上がったことで今年の日本学生のほか、昨年は、朝日杯、文部科学大臣杯などの大学タイトルも獲得している。
高校卒業後はアジアンツアーのQTを受けてプロ転向することも考えたが、「社会勉強だったり、ゴルフ以外のこともやってみたかった」と、日本大学に進学。2年後の卒業時には、慣れ親しんだアジアンツアーに目を向けている。
「今の自分はアイアンショット以降で勝負しています。今後はティショットに不安があるので精度を上げたいですし、ショートゲームもまだまだ差を感じます。そこをもっと磨いていきたい」
プロと同じ土俵で戦い、あらためて差を感じた部分もある。先週は日本ツアー出場2戦目のブリヂストンオープンでもきっちり予選を通過。「将来はプロになってメジャーで優勝したい。一番はマスターズです」という志を持つ。「出るからには優勝したい」とプロアマ問わず、どんな試合においても優勝への意欲が高い。まだまだノビシロたっぷりの20歳。金谷とともに女子に負けない黄金世代を引っ張る逸材だ。
(本誌・小高拓)