日本オープン最終日で採用されたプリファードライ 天気は悪くないように見えたが、適用する基準は?

乾いているように見えても、泥がつきやすい状態だった
乾いているように見えても、泥がつきやすい状態だった 【拡大】
10月14日(日)まで横浜カントリークラブで開催された日本オープン。日本最高峰の舞台で、稲森佑貴が持ち前のシュアなゴルフを存分に展開し、ツアー初優勝をメジャー制覇で飾った。

最終日はNHKが正午からBSと総合のリレーで生中継を行ったが、テレビ観戦していて「ウン?」と思った人も多いかもしれない。テレビ中継された午後は決して天気が悪いようには見えなかったのに、ボールを拾い上げて拭き、1クラブレングス以内にプレースする「プリファードライ」の処置を行っていたからだ。

前夜から降った雨は最終日の競技がスタートする午前の早い時間帯には小降りになっていたが、それでもプリファードライを適用するものなのか? どんな基準で決定しているのだろうか?

「そもそも降雨量自体は、あまり関係がありません」というのは、日本オープンでルールズディレクターを務めた日本ゴルフ協会(JGA)の市村元氏だ。

「あくまでフェアウェイでボールに泥がついて不公平が生じるか否かが判断基準。もちろん降水量が多ければそういう状況になる可能性は高いわけですが、降水量が多くても水はけがよければ、泥がつかないケースもありますから」

具体的には、競技委員がコースの各所に散らばり、実際に地面にボールを叩きつけて泥がつくか否かをテストするのだという。

「今回も朝の6時からレフェリー総出で行いました。今回の場合、前日に雨がなくてもボールに泥がついたという報告が、選手から上がってきていましたので」

一方、プレーする側の選手はどう考えるか? 海外でのプレー経験が豊富な数人に話を聞いた。

「欧州ツアーは、午後から大雨が降りそうなときは朝から出したりもします」と答えてくれたのは、片岡大育。寒暖差が激しい地域では朝露がすごく、泥がつきやすいと判断すれば、雨でなくても出すときがある。「初日から4日間、今週はずっと出します」というケースさえあるという。

藤田寛之も「(海外は日本に比べ)断然早い。泥がつく可能性があるぐらいで出すんですよ。『これで出るの?』みたいな。横浜CCはフェアウェイがいいし、出ないんじゃないのって思ってたら、回っていたら泥がついていた。(日本オープンの最終日は)いい判断だったんだなと」と、同意見。

宮里優作も「欧州では今季も何回も出ていた」と語り、池田勇太も「フェアウェイだけに“フェア”じゃないと」と、泥がつくことによる不公平を訴える。

前出の片岡は、勝負どころのショットを泥の影響でミスし、優勝争いから脱落した経験もあるという。「あるがままに打つ」というのはゴルフの基本理念だが、トーナメントはショーの要素もある。最高のショットになるはずのものが泥のせいで幻に終わってはプレーする側も見る側もつまらない。早め早めにプリファードライを出すのが、現在の世界基準といえそうだ。

ただし、「欧州は1スコアカード(いわゆる6インチ)が基本」(片岡)。1クラブレングス以内でライのいいところに置けるのでは、泥を拭いて不公平をなくすという趣旨に加えて、もう一つの救済を受けられることになってしまう。動かせる範囲を1スコアカード以内としたうえで、プリファードライを出す基準そのものを緩めることは、公平性を担保しつつゲームを面白くするために、検討していっていいのではないだろうか。

(本誌ニュース班)
文・編集部 ※2018年11月6日号「芝目八目」より

週刊パーゴルフ2018年11月6日号(2018年10月23日発売)の芝目八目では、以下のようなラインアップでゴルフ界の気になる最新情報をお届け中です。
●日本オープン最終日で採用されたプリファードライ 天気は悪くないように見えたが、適用する基準は?
●アマ連続予選通過タイ記録 安田祐香は高校生活でも負けず嫌い
●契約プロの鑑!?日本オープン制覇の稲森佑貴 バッグの中身は、ほぼほぼ2019年モデル
●男子の黄金世代を牽引する!日本オープン予選首位のアマはフィリピン帰りの桂川有人
●家庭用としても普及し始めた3Dプリンター 大手メーカーもクラブ開発に利用していた
●2019年改訂版ルールブックは図版も文章も「分かりやすさ」重視

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