【GOLF、今この人に聞きたい!】 第125回:井元憲生さん

 井元さんは均すと年間50〜60ラウンドほどプレーする。若いころはゴルフに触れてはいたものの、まったくといっていいほど面白みを感じていなかったが、ビースリーのビジネスが軌道に乗り始めたころに再開し、今では数コースの会員権を持つほどのめり込んでいる。メインのメンバーコースをほぼ週イチでラウンドし、クラブ競技にも頻繁に参加している。

 このペースでラウンドするなら、ずいぶん先まで予定がびっしり入っていることだろう。

 「だいたい3カ月先まで入ってますけど、僕なんてカワイイもんですよ。所属倶楽部の先輩なんか2年先まで入れるっていいますから。何でそんな先までって聞いたら、約束したらそれまで生きてないとダメだと思うんだそうです。いつお迎えがくるか分からないから、どんどん約束を入れてるんだ、って(笑)」

 これだけのラウンド数を支えるのは毎日の自宅での練習。朝起きたら庭に出て素振りをし、少しアプローチ練習をした後、風呂に入るのが井元さんの日課。かようにゴルフが日常に溶け込んだ生活を送っている井元さん、一体ゴルフの何がこれほどまでに面白いのか?

 「ゴルフ場は気持ちがいい。このひと言に尽きますね。緑がいっぱいでマイナスイオンが発生するからでしょうね。この話を仲間としてたら、ある人がいったんです。やっぱり人間もともと猿なんだねって(笑)」

 1ラウンドすると1万6000から7000歩、距離にして10キロ以上を歩くことになるが、山の中を一日中歩くのは猿の日常。ボールを打つのはあくまでオマケなのだが、実はこれもなかなか面白い。猿の本能には闘いも組み込まれている。これが井元さんがゴルフは猿の本性に合っている、と主張する理由である。

 「山を歩くという点では神戸ゴルフ倶楽部は味わいがあります」

 井元さんは神戸ゴルフ倶楽部のメンバーでもある。同コースは日本で初めてできたゴルフ場。神戸で暮らしていた外国人が、どうしても日本でゴルフがしたい、とほぼ手作りで造り上げられた。

 「クラブハウスに入ると、当時からの歴史を伝える写真が展示されています」

 開場式では当時の兵庫県知事が1番ティに立ち、ヒッコリーのドライバーを手に打ち初めを行った。そのボールはオーナメントとして大切に保管されている。また、正装した外国人が、二人の男が担ぐ駕籠に乗ってコースに向かう写真も残っている。

 重機のなかった時代、六甲山の頂にゴルフコースを造成することがどれだけ大変なことだったか、そして創設メンバーのゴルフ場を造りたいという思いが、いかほどだったかに想いを馳せることができる。

 「クラブハウスのストーリー写真を見るだけで楽しめますが、コースは山岳コースです。プレー中は、ほとんど登山です」

 乗用カートは、とてもじゃないが入れないほどの傾斜。だからプレーヤーは全員歩き。またゴルフクラブは10本までと決められており、キャディが専用バッグで運ぶ。キャディは山登りの練習になるということで、近隣大学のワンダーフォーゲル部員のアルバイトが多いそう。

 「体力的に相当つらいですし、冬場はクローズしてしまうので、年に数回しか行きませんが、ゴルフの原点だけじゃなく人間の原点が確認できるんです」

 ビースリーのビジネスは緻密な計算に裏打ちされた戦略に基づいている。一度でも店を訪れれば、その立地と面積、商品のディスプレー方法とラインナップから、それを窺い知ることができるはずだ。

 しかし、井元さんはその緻密なビジネスからはイメージできない、豪快な人。取材中は終始爆笑の渦に包まれた。随分先までゴルフの予定が埋まっているのは、きっと井元さんと回りたい人が列を成して待っているからなのだろうと思う。


井元憲生さん(いもと・のりお)
1953年5月12日生まれ、兵庫県出身。大学卒業後の76年、アパレルメーカーに入社、営業・商品企画・マーケティングまで幅広く携わる。94年にバリュープランニングを設立。360度ストレッチパンツ〈ビースリー〉が人気を博し、2013年に経済産業省の「がんばる中小企業300社」に選出される。現在直営店は国内238店舗(メンズ7店舗)、海外4店舗。ゴルフを始めたのは、社会人になって2~3年たったころ。「当時は仕事のおつき合いでのコンペがまだまだ多いころ。最初に参加したときに150ぐらい叩いたのがきっかけで“なんとかしなきゃ!”と、練習に通いました」

厳しいドレスコードもビースリーならOK! ラウンドのときには必ず「ビースリーメン」のパンツを着用するという井元さん。年に50~60ラウンドの多くが、ホームコースの廣野ゴルフ倶楽部。

 「競技会などをきっかけに、メンバー同士で顔見知りになりますから、自然と一緒にプレーすることも多くなります。厳格なドレスコードのある倶楽部ですが、皆さん“井元さんとプレーするときは、ドレスコードはビースリー”といってくれます(笑)」


週刊パーゴルフ(2018年10月16日号)掲載 / 写真・鈴木健夫

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