森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 富士通レディース「40年目を迎えたチャリティの先駆け」(5)

“する”だけではなく“見る”スポーツとしての裾野を、富士通の技術で広めたい

日本のIT技術を牽引し続ける最先端の企業でありながら、チャリティやスポーツにも力を入れる富士通。その富士通が主催する大会として、スポーツ支援、チャリティの二大テーマを満たす女子ゴルフのツアー競技開催は親和性が非常に高いようだ。しかし、富士通がスポーツを支援する姿勢は社会的責任からのみきているわけではない。IT技術を駆使して、“見る”スポーツの裾野を広げたいという。

山本を感心させた古閑美保からのわび状

一昨年優勝の松森彩夏とがっちり握手をする富士通会長の山本正已。今度の大会では誰が栄冠を手にするのだろうか?
一昨年優勝の松森彩夏とがっちり握手をする富士通会長の山本正已。今度の大会では誰が栄冠を手にするのだろうか? 【拡大】
 昨年、千葉県の我孫子ゴルフ倶楽部で行われた「日本女子オープン」最終日の10月1日、プロ1年目の畑岡奈紗が、アマ時代を含めた大会2連覇を果たした。連覇は実に1977年以来40年ぶり。奇しくもその40年前の主役が樋口久子である。樋口は98年、富士通の所属プロとなる。

「樋口さんはそれ以来、日本のトップ企業のCEO(最高経営責任者)をお呼びするうちのセミナーに毎年参加してくれました。セミナーのある土曜日、3~4チームに分かれ、樋口さんがそれぞれレッスンをしながらラウンドするのです」

 富士通会長の山本正已(63)が、自社のセミナーにまつわるエピソードを話してくれた。

「例えば樋口さんはグリップを徹底的に直す。しかし、けっこうゴルフのうまい人でも変な握り方をしてきた人が多いので、そのまま打つとボールに当たらない。それで、空振りが続出するわけです。某地方新聞の社長さんなどは『納得いかない』と悔しがり、ラウンド後に練習場に行ったほど。そこに樋口さんもつき合っていました。で、表彰式でみんなが待っているのに、一向に上がってこない。僕は樋口さんから苦手だったバンカーの脱出について『上げて下ろすだけでいいんですよ』とひと言アドバイスされました。あれで気が楽になりましたね」

 プロアマチャリティからスタートした富士通レディースの試行錯誤については幾度か触れてきたが、やはりチャリティの運営はトーナメントにおける社会貢献の柱でもある。そこでの女子プロのホスピタリティー(もてなし)を充実させたのが樋口であり、ホスピタリティーが現在の女子プロ人気を支えてきたといっても過言ではない。樋口はプロテストに合格したばかりの新人プロに対するマナー教育システムを構築し、選手にホスピタリティーを教え込んできた。長い富士通レディースの歴史には、そんな樋口の思いを示す象徴的なエピソードもある。

「賞金女王になったころの全盛期の古閑美保さんが、富士通レディースの出場を突然取りやめたことがありました。樋口さんがそれを叱ったのだと思います。古閑さんがわざわざ私宛てに『大変ご迷惑をおかけしました』と、とても丁寧な謝罪の手紙を書いてきてくれましてね。そういうところをしっかりフォローさせることによって、女子プロ自身も出場する大会が増え、稼げる環境が整う。いくら強いプロでもやっぱり観客に対してホスピタリティーがなければ盛り上がらない。やはりお客さんを楽しませて初めてプロですからね」

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