【GOLF、今この人に聞きたい!】 第121回:小西清久さん

 医療器具販売会社へ転職し、営業の部署に配属された。その仕事はスーパーマーケットの一角を借り、自社の医療器具を置いて来店客に試してもらうもの。開店の朝10時から閉店の22時まで現場に立ち続ける。一拠点当たりの展示期間はおよそ1カ月。終わるとまた別の場所に移動する。

 「結局この部署に6年間いましたが、ゴルフは年に1回、正月にしかできませんでした。でも、商売には人とのつながりが大切、ということを覚えました。僕の仕事の原点になりましたね」

 その後エレベーターのメンテナンス会社に転職したときに、特殊なプライマーの開発者に出会った。最初は小西さん自身もその効果に半信半疑だったが、勤務先で管理する物件を施工したところ効果はてきめんだった。その技術にほれ込んだ小西さんは本業の勤めを続けながらも、方々にこの技術を紹介して回った。時には現場に出て施工を手伝うこともあった。そして10年間の助走期間を経て、2014年にこのプライマーを独占的に販売するバリュー・クリエイション社を立ち上げた。

 「初めて現場に入ったときに職人さんのすごさを目の当たりにしました。汚れ仕事も文句一ついわない。苦労していい仕事をするその姿がカッコよかった」

 ある職人は最後の仕上げに素手でセメントに触る。手がドロドロになるから普通の人はまず手袋をするだろうという状況であるが、素手で仕上げたぶん、出来上がりが美しい。

 そんな工夫や苦労がありながらも、職人には報われない面がある。例えば梅雨の時季には仕事が半分になることもある。だから一人親方の職人は梅雨の時季は子どものミルクも買えないといった状況に陥ってしまうこともある。その割に問題が起これば責任を取らされる。

 「能力があって苦労もしているのに報われないのはよくない。このままでは職人のなり手がいなくなってしまって、日本の建設業が成り立たない。だから僕はこのプライマーは職人さんにしか卸さないという事業モデルにしました」

 そのことによって、バリュー工法は塗装職人や防水施工専門業者が元請けになる。結果、彼らが手間賃以外の利益を得ることができるうえ、中間業者のマージンが発生せず工事代金が安くなるため、顧客にとってもメリットがある。

 現在130まで取扱社が増え、全国を飛び回っているという小西さん。最近になってゴルフ場で仕事をするだけではなく、プレーもできる余裕ができてきた。9月7〜9日には還暦少年団・石田泰之団長(同社特別顧問)主催で、3組12人が北海道に集合し、2泊3日の懇親ゴルフ合宿が行われる。コースは札幌国際カントリークラブ島松コース、桂ゴルフ倶楽部、そして北海道ブルックスカントリークラブ。

 「出張に行くときは、できるだけお客さまや取引先の方とラウンドするようにしています。初対面でも必ず打ち解け合える、これが今、ゴルフで一番大好きなところです」

 一度施工してしまうと半永久的に効果が持続してしまうような部材は、工事業者からは敬遠される傾向にある。なぜなら保守の機会が失われてしまうからだ。建設業界だけでなく自動車、ITなど保守が重要な収益源になっている業界は多い。だから小西さんのビジネスモデルは非常識である。しかし、業界の常識は世の中の非常識なのが常。顧客と第一線で働く人々を最優先に考えた小西さんのビジネスモデルは歴史の洗礼を受けて常識となるはずだ。


小西清久さん(こにし・きよひさ)
1968年10月23日生まれ、大阪府出身。2005年に漏水やさび止めに使われる特殊プライマー「ミラクルプライマー」に出合う。後に開発者と直接交渉して独占販売契約を結び、14年株式会社バリュー・クリエイションを設立。ミラクルプライマーによる「バリュー工法」事業を展開。施工者にのみ販売するスタイルで、現在130の事業主に販売。ゴルフ場経営大手などのクラブハウスの浴槽やレストランなどの漏水などで全国を奔走。ゴルフのベストスコアは81。「小学生のころの遠足前夜のワクワク感を感じることができて、ラウンド前夜がたまらなく好きなんです。眠れないし、当日は目覚ましが鳴る前に起きてしまいます(笑)」

一気に親密になり仕事がスムーズに! ゴルフは仕事上において、施工パートナーとのコミュニケーションに大いに役立っているという。「販売先が日本全国の職人さんなのですが、ゴルフ好きの職人さんが多いため、打ち合わせを兼ねてプレーすることが多いんです。ゴルフをやると一気に親密になれます」。また施工パートナーが全国にいるため「日本全国のゴルフ場でプレーできるんです」という。写真は今年6月、施工パートナーと六甲国際ゴルフ倶楽部でプレーしたときのもの。「宮里藍サントリーレディスオープンの4日後に、荒木貴浩さん(左)と藤田一郎さん(中)と一緒にプレーしました。トーナメント直後でしたので、スリリングなセッティングでプレーでき、一生の思い出になりました」


週刊パーゴルフ(2018年9月18日号)掲載 / 写真・鈴木健夫

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