森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 富士通レディース「40年目を迎えたチャリティの先駆け」(3)


チャリティ精神とスポーツ支援、富士通は二つの揺るぎないDNAを持っている

昨年度大会で35周年を迎えた富士通レディース。39年前に第1回が開催された「日米プロアマチャリティゴルフ」がその前身だが、ツアー競技となった今でもそのチャリティ精神を連綿と受け継いできている。また、実業団スポーツが下火となった現在でも富士通はさまざまな競技を支援し続ける。その根底にはどんな精神が息づいているのであろうか?

医療、文化、災害など、さまざまな分野を支援

 プロアマチャリティからプロゴルフトーナメントへ――。財界活動のつき合いから社会貢献をテーマとして始めた富士通レディースが、LPGAの正式競技になったのは1983年のことだ。それを決断したのは、富士通中興の祖と呼ばれた山本卓眞である。

 陸軍航空士官学校を卒業し、若楠特攻隊の少尉として終戦間際に満州へ侵攻したソ連軍を迎え撃った激烈な戦争体験を持つ。山本は終戦後、東大第二工学部から当時の富士通信機製造に入社し、池田敏雄らとともに日本初となるリレー式自動計算機の開発を手がけ、今日の富士通の礎を築いた。チャリティをプロゴルフトーナメントに衣替えしたのは、山本が社長になって2年目だ。

 山本はユネスコ(国連教育科学文化機関)の活動にも熱心で、後(94年)に日本ユネスコ協会連盟の会長にもなる。周知のようにユネスコは、国連組織として世界寺子屋運動による識字教育の支援や世界遺産基金への協力をしている国際機関である。当初、榊原記念病院の心臓・循環器医療に対する募金集めとして始めた富士通のチャリティゴルフは、ユネスコの世界遺産基金集めという色合いを強めていった。

「トーナメントの中には、地域活性化のために開催の場所を毎回、あるいは何年かごとに変える企業もありますが、富士通の場合は(東急セブンハンドレッドCに定着してからは)1カ所で安定的に大会運営をしていくようにしています。開催地が決まっていますので、地域活性化というより、そこでアマチュアの人から頂いたお金を寄付として展開していく。それは日本全体に対する社会貢献という意味合いが大きい」

 トーナメントにおけるチャリティのあり様について、現富士通会長の山本正已が説明してくれた。チャリティは時代時代に応じて変わってきたともいう。

「かつてはユネスコがメーンでしたが、寄付の対象はケースバイケース。2011年に東日本大震災が起き、(被災遺児のための)あしなが育英会にも力を入れてきましたし、地球温暖化、CO2対策としてバーディforグリーンという緑化運動も行っています」

 冠スポンサー企業にとって、会社としての知名度向上や取引先とのリレーションというストレートな営業戦略だけでは、本来のプロアマチャリティの使命は果たせない。有名プロとラウンドする招待客の楽しみをことさら否定する必要もないが、さりとてプロアマに参加する企業経営者にとって、それが単なる個人的な道楽に終わってしまえば、世間の批判を浴びかねない。

 そのため富士通レディースでは、「あしなが育英会」や「ユニセフ」「日本障がい者スポーツ協会」「バーディforグリーン植林支援」といった寄付行為を前面に打ち出してきた。例えばプロアマを加えた4日間の「バーディforグリーン」では、バーディ10本、イーグル100本、アルバトロス1000本の苗木の寄付を定め、16年の実績で1万2390本の植樹が実現している。最近でいえば、九州の熊本震災や豪雨被害といった自然災害への対応も大きなテーマである。

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