森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント ANAオープン「世界一の路線、札幌-東京をゴルフで結ぶ」(4)


ANAオープンといえば輪厚、輪厚といえばANAオープン、その不可分な絆にも危機はあった

「このトーナメントといえばこのコース」と、大会名と開催コースが不可分な形で認知されているケースは多い。しかし、そんな場合でも第1回大会からずっと変わらず同じコースで開催している大会は意外と少ないのだ。歴史の長いトーナメントとなればなおさらだ。ANAオープンはそんな希少な例の一つである。札幌GC輪厚Cのシラカバにセパレートされた美しいコースで45年間の歴史を変わらず刻んできた。

札幌テレビ放送と札幌GCが始めた大会

毎年、ANAオープンが開催されている札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース。名匠・井上誠一の傑作であり、北海道を代表する名コースだ
毎年、ANAオープンが開催されている札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース。名匠・井上誠一の傑作であり、北海道を代表する名コースだ 【拡大】
 ANAオープンは本欄で取り上げてきた三井住友VISA太平洋マスターズやサントリーレディスオープン、フジサンケイクラシックなどと肩を並べ、日本の十指に入る老舗トーナメントといえる。三菱グループのダイヤモンドカップのようなサーキット形式のトーナメントはもとより、他の多くの名門トーナメントは、それぞれの事情により大会の場を移してきた。だが、ANAオープンの舞台だけは不変だ。45回の歴史を刻んでなお、開催地は札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース以外にない。おかげでANAオープンといえば、札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース、輪厚といえばANA――。道内はむろん全国的にも、そんなイメージが定着している。

「ANAオープンは、もともと1971年に札幌テレビ放送と札幌ゴルフ倶楽部が一緒に始めた札幌オープンゴルフが前身であり、今もキー局は地元の札幌テレビ。テレビ業界用語でいうところの“上りネット”で、札幌テレビがキー局として、東京の日テレを経由して全国に大会が放送されています。輪厚コースでの開催は、その流れからきています。地元密着型トーナメントであることの一つの表れかもしれませんね」

 全日空商事副社長の飯塚弘衛は、トーナメントと地元・北海道とのつながりの重要性を、そう強調する。ゴルフトーナメントは冠スポンサーのマーケット戦略であると同時に、会場となる地域はトーナメント開催による経済効果を期待する。企業活動と地域の活性化の両方がかみ合い、スムーズに運営できなければ、うまくいかない。それはどのトーナメントにも共通だが、とりわけANAには地元を大事にする意識が強いように感じる。

 ANAの札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースへのこだわりは、井上誠一による絶妙なコースレイアウトもさることながら、地元財界への配慮に他ならない。輪厚コースは道内随一の名コースと評される。その運営母体である札幌ゴルフ倶楽部の歴史も、また興味深い。本はといえば、札幌ゴルフ倶楽部は戦前の1932年、ゴルフの黎明(れいめい)期に愛好家が集い、小樽カントリー倶楽部に次いで、札幌にゴルフ場を造ろうと結成された団体だという。その手始めのゴルフ場が、輪厚コースと同じ国道36号線沿いの「月寒リンクス」だった。そこが第二次世界大戦で閉鎖され、終戦から10年を経た1955年、あらためてゴルフ場開発の計画が練られた。それが輪厚コースだ。北海道のゴルフ愛好家の長い間の切情が詰まったゴルフコースなのである。

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