森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント ANAオープン「世界一の路線、札幌-東京をゴルフで結ぶ」(1)

大会2日目の朝、穏やかな空をJアラートのサイレンが切り裂いた

1973年、日本男子のツアー制度施行初年度から単一のスポンサーで続いているトーナメントは数えるほどしかない。そのうちの一つ、日本ツアーのオリジナルメンバーとして昨年45周年を迎えたのがANAオープンだ。北海道随一の名門、札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースで開催されることもあって、北の大地で開催される多くの大会を代表する存在ともいえる。しかし、その45年間は決して平坦な道ではなかった。

着任2年目に見舞われたハプニング

1組目がティショットを打ったばかりとあって、大きな混乱はなかった
1組目がティショットを打ったばかりとあって、大きな混乱はなかった 【拡大】
 昨年45回目を迎えたANAオープンゴルフトーナメントはある意味、過去に例のない出来事が話題を呼んだ。大会予選2日目に当たる9月15日金曜日の早朝7時1分、インの第1組がスタートした矢先のこと。3選手のうち、二人目が札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース10番ホールでティショットを打った瞬間である。

 ウィーン、ウィーン……

 地鳴りのような低いサイレン音に続いて、Jアラートの警戒要請が響いた。

「北朝鮮からミサイルが発射されたもようです。建物の中、または地下に避難してください」

 北朝鮮の順安から長距離ミサイル「火星12」が発射された。ミサイルは7時4分~6分の間、北海道上空を通過し、襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下した。選手はもとより、ギャラリーたちはさぞかし驚いたに違いない。半面、トーナメントを主催する全日本空輸(ANA)のスタッフは落ち着いていた。

「あのような時期ですからね。われわれは大会前の日曜日から北海道入りしていて、Jアラートが出たらどうしようか、と打ち合わせしていました。ゴルフ場なので地下はないし、建物といってもクラブハウスくらい。『クラブハウスの近くにいる人は中に避難、それ以外の方はまずは頭を庇(かば)って』という指示くらいしか出せませんが、幸い早朝だったのでそれほどギャラリーも入っていなかった。ほとんどがクラブハウスの周りにいらっしゃったので誘導したら、スムーズに建物の中に入っていただけ、混乱はありませんでした」

 そう振り返ってくれたのは、ANAマーケティングコミュニケーション部長の種家純だ。昔風にいえば宣伝部長だが、日本の企業社会ではまだまだ女性部長そのものが珍しい。種家自身、昨年4月にANA史上初めて女性として部長に就任したばかりだ。以来、2度目のトーナメントにして、ミサイル発射というとんでもないハプニングに遭遇したわけだ。当人はこう笑う。

「ちょっと難しかったのが、Jアラートの避難指示解除のタイミングですね。何をもって判断しましょうか、とあらかじめ相談し、ニュースや他の交通機関の動向などを見ながらミサイルが着水をした段階で、決めていた流れに沿って40分後に解除しました」

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