【GOLF、今この人に聞きたい!】 第114回:岡崎忠彦さん

 岡崎さんは練習場にも行かなければ、教則本も雑誌もほとんど読まない。その代わり月に2度ほどプロのラウンドレッスンを受けている。

 「練習場に来なさいといわれるんですけど、嫌です、コースでしかやりませんって(笑)。何でも現場で人と会って話しながらやるのが僕の仕事のスタイルです。このスタイルは変えたくないんですね。時間がない中で、どう楽しむかが大事だと思ってるんですよ。でもプロに習わないと上達しない。それが一番のショートカットですから。ビジネスでいったら、影響力のある人に会いに行くのと似てますかね。短時間でいろいろなことが勉強できますし、いろいろなことがポンポン進んでいきますから」

 岡崎さんの得意クラブはパター。グリップや構えをガチガチに決めるというよりは、極めて感覚的。カップとボールの関係をじっと眺める。すると一本の線が見えてくる。ひらめきが得られたら、入れと強く念じる。それがパットのコツだという。コースでは前ページで紹介したパターを常に使っている。私も振らせてもらったが、非常にシビアなパター。芯に当たらないと距離が出ないし、当たりどころによってフェースの向きも簡単に変わってしまう。最近のオートマチックに打てるパターの対極にある道具である。

 「父親が亡くなる直前に遺した言葉が『ゴルフはマナーとパターやぞ』。このパターで入ったらカッコイイじゃないですか。何でそんな難しいの使うんだっていわれますけど、だからこそ使いたい。へそ曲がりなんですね(笑)」

 またアイアンはエヴィスゴルフ製。エヴィスといえばアパレルやアクセサリーで知られているが、実はアイアンも販売している。マッスルバックで、これまたハードな仕様である。

 「これもやっぱり仲間からは何でそんなにハードなクラブを、といわれます。でもカッコイイんですよ」

 マナーについては、廣野ゴルフ倶楽部のドレスコードを厳密に守るのが岡崎さんのスタイル。基本は紺と白のクラシックなウェア中心で、夏場に短パンをはくときは当然ハイソックス。ハイソックスも、帽子も、シャツも、廣野ゴルフ倶楽部のロゴが入ったものを好んで着用。

 「仕事柄、普段着はみんなと同じような着方はしないんですけど、廣野はきっちりルールがありますから、それを楽しんでいます。伝統があるからこそ、逆にファッションに携わる人間としては燃えるんです。短パンにハイソックスだって、スコットランドの伝統ファッションというルーツがある。着物に帯が必要なのと同じことです。でもそのスタイルをどこまで崩して新しいものを取り入れるか、そのギリギリのせめぎ合いが面白いんです」

 ファミリアの社員は現在約800人。先代がゴルフ好きだったこともあり、以前は会社のコンペも頻繁に行われていたが、現在は社員が若返ったこともあり、めっきり回数が減ってしまった。

 「会社が盛り上がっているときこそ、社内コンペをやろうという話が出てくるものです。みんなゴルフに触れたことがないだけで、面白さに気づけばやると思うんですね。もう一回みんなでコンペをできるようにしたいですね」

 岡崎さんの新しいコンセプトを形にした店舗が9月に神戸で開店する。670坪の規模で、クリニックの併設やレストラン・カフェなど、“first1000days(妊娠から満2歳の誕生日まで)”のニーズをすべてカバーするという。ファミリアの守破離、非常に楽しみだ。

岡崎忠彦さん(おかざき・ただひこ)
1969年東京都生まれ、神戸育ち。甲南大学卒。卒業後渡米し、カリフォルニアアートカレッジでデザインを学ぶ。Tamotsu Yagi Designを経て、2003年ファミリア入社。11年代表取締役就任。ゴルフの魅力は「いつもいつも、うまくいくわけじゃないところ」。使用ボールはタイトリストのプロV1だが、その理由は「ロゴが(デザイン的に)好きなんです。ロゴで商品を選ぶこと、けっこうありますよ」という。

中内功氏が創業者にプレゼントしたパター「創業者がダイエーの故中内功さんから何かの記念でもらったパターだそうです。倉庫に眠っていたのを、箱を開けたら出てきたのがこれです。せっかくだから使おうかなと」

 ヒッコリーシャフトに革巻きのグリップと、博物館に展示されているようなクラシカルなパター。これをコースで使ったら、相手が誰であっても会話が弾みそう。


週刊パーゴルフ(2018年7月10日号)掲載 / 写真・鈴木健夫

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