森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント サントリーレディスオープン「宮里藍、国内最後の舞台」(3)

日本ツアー最古参の一つ、男子サントリーオープンの終焉

宮里藍の国内引退試合となるなど昨季も話題となり、女子ツアーの中で重要な位置を占めるサントリーレディスオープン。その兄妹大会ともいえる「サントリーオープン」という大会があったことを覚えておいでだろうか? かつてはジャック・ニクラス、フィル・ミケルソン、ニック・プライスらワールドクラスのスターを招聘し、国際的な大会としても知られた。そんな大会が、なぜ歴史に幕を下ろしたのか?

文化やスポーツが発展すると社会は豊かになる

創業家の鳥井道夫たっての希望で実現した帝王・ニクラスの招聘 写真・Getty Images
創業家の鳥井道夫たっての希望で実現した帝王・ニクラスの招聘 写真・Getty Images 【拡大】
 男子ツアーの「サントリーオープン」は、日本におけるプロゴルフツアー制度初年度の1973年に始まった。ツアーの走りであるのは繰り返すまでもないが、と同時に、トーナメントは日本のウイスキー文化とともに歩んできた。サントリーグループと日本テレビがタッグを組み、ゴルフとウイスキーの歴史を刻んできたビッグトーナメントである。

 節目の記念大会に販売されてきた陶器の〈骨董(こっとう)ウイスキー〉は、ゴルフファンのみならず人気が高い。ネットのオークションサイトをのぞくと、最後の第35回大会の〈ローヤルプレミアム15年 サントリーオープン2007記念陶製ボトル〉(500ml、定価1万500円)や〈ローヤル12年 ゴルフボール型ボトル〉(100ml、定価1469円)、9回大会の〈サントリースペシャルリザーブ81〉(760ml、定価1万4800円)などが、すぐに見つかる。記念ボトルはトーナメント会場でも販売され、瞬く間に売り切れたという。

 サントリーオープンは、毎年9月第2週に開催され、97年まで千葉県印西市の習志野カントリークラブキング・クイーンコース、それ以降は同市内の総武カントリークラブ総武コースに舞台を移して開かれてきた。いずれも倒産した大手ゴルフ場運営会社の基幹コースであり、それも影響しているのだろうか。宮里藍の登場でブームになった女子トーナメントと入れ替わるように、2007年に幕を閉じた。なぜ日本屈指の名門トーナメントが幕を下ろすことになったのか。サントリーコミュニケーションズ社長の山田眞二にサントリーオープンについて尋ねると、サントリーの企業風土とゴルフトーナメントの関係について、こう説明してくれた。

「時代的な背景をいえば、サントリーオープンが始まったのは、70年の大阪万博の後、日本人に趣味やレジャーに対する意識が広がってきた時期でした。サントリーも、豊かな生活文化づくりに貢献したいとの思いから、文化やスポーツの分野でさまざまな取り組みをスタートしました。文化でいうと、サントリーホールや美術館など、スポーツならバレーボールやラグビーチームを結成したほか、ゴルフをはじめ、現在は行っていませんがNCAAのバスケットボールやヨット、80年代にはテニスのサントリーカップを主催しました」

 サントリーは、そうした時代の要請を敏感に感じ取り、スポーツイベントに乗り出したという。こう続けた。

「サントリーでは、挑戦する風土を表す“やってみなはれ”精神が知られているかもしれませんが、もう一つ、利益三分主義という創業以来の理念も社員に根づいています。自社の利益だけを考えて会社を長く存続させてはいけません。利益を“事業への再投資”だけでなく“お得意先・お取引先へのサービス”や“社会への貢献”にも役立てようという考え方です。文化やスポーツ活動を通じて心豊かな社会づくりに貢献することも企業の使命と考え、その中から生まれた取り組みの一つが73年のサントリーオープンです」

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