【GOLF、今この人に聞きたい!】 第82回:兒玉圭司さん

 兒玉さんがゴルフを始めたのは、スヴェンソンと出合うよりもはるか前、25歳のころだった。仕事仲間に誘われたのがきっかけだが、すぐにのめり込んだ。最初にメンバーとなったコースは埼玉県の嵐山CC。

 ゴルフで一番印象に残っているのはゲーリー・プレーヤーとのラウンド。76年に真名CCゲーリー・プレーヤーCが開場したときに来日したプレーヤーと、完成したてのコースを回った。今でも目に焼きついているのは、そのパー5のセカンドショット。残りは220ヤード、グリーン手前に池がある。「兒玉さん、乗せますよ」と宣言したプレーヤーは、バッグから抜き出したウッドをスパーンと振り抜いた。ボールは高い弾道を描いてグリーンに直接キャリーし、しっかり止まった。

 「やっぱり、すごいなと思いましたね。普通だったらグリーンまで届いたとしても奥まで行っちゃいますからね」

 最も熱中していたころは70台で回ることもしばしば。ハンディ8まで腕を磨いた。兒玉さんにとってのゴルフの魅力は、どこにあるのか。

 「やっぱり自分に勝つということですね。最大の敵は相手じゃなく常に自分なんですよね。卓球もゴルフも自分に勝たなければ、試合には勝てないですね」

 卓球とゴルフに違いがあるとすれば、プレー中に実際に球を打っている時間。ゴルフの場合は1ショットの中で実際にボールを打つ動作に費やす時間は2から2.5秒。だから1ラウンドで100回打つとしても、1ラウンドでトータル4〜5分だ。それ以外の時間は他の人のプレーを見ているか、歩きながら考えている時間。

 「だから、あとはすべてメンタルなんですよ。もちろん体力がないと、技術にすぐ限界がきます。卓球の世界では体力がついてくると、自分が思っている以上にどんどん技術が向上していくものです。たぶんゴルフも同じじゃないかと思います。でも、打つ動作以外の時間が圧倒的に長いゴルフはメンタルが大事です。しかし、メンタルは生まれつきじゃありません。学習によって、訓練によって習得できる技術なんです」

 訓練方法は何かと尋ねると、常に昨日の自分に勝つための努力を続けることだ、と兒玉さんは教えてくれた。こうなってほしい自分と、なかなかそうなってくれない自分との闘い、日々この勝負に勝つことだと。

 「86年に46歳でマスターズに勝ったジャック・ニクラスがいってました。自分が最もよかったときの自分になりきれたと」

 冒頭で兒玉さんが最近ゴルフを休んでいることに触れたが、実は以前も家庭の事情で10年ほどゴルフを休んでいた時期があった。再開したのは5年ほど前。本誌で『いいボギーの思考学』を連載中の阪田哲男さんとは、長年のゴルフ仲間。再開するに当たって阪田さんにクラブをすべて選んでもらった。昔は190ヤードのパー3を5番アイアンで乗せるほどだったが、10年ぶりにやるゴルフは頭の中のイメージと体の動きがあまりに違っていて苦労したそうだ。

 「阪田さんにドライバーは200ヤード飛べば十分だっていわれて、そうかもね、と。昔は飛ばすことで勝負してたけど、今はアプローチとパターを磨いてエージシュートをやろうと宣言しました」

 取材中にご自身の口から増毛していると聞くまで、兒玉さんの髪は地毛だとすっかり思い込んでいた。顧客の定着率は95パーセント以上というが、その数字には満足せず、離脱してしまった5パーセントの原因を分析し、より満足してもらう方法を常に考えているという。世界でトップに立つ卓球選手を育てた監督は「最大の敵は常に自分」を、ビジネスでも実践しているのである。

兒玉圭司さん(こだま・けいじ)
1935年生まれ、東京都出身。明治大学卒業。84年スヴェンソンを設立し、代表取締役社長就任。2015年、代表取締役会長就任。現在卓球関連では、日本学生卓球連盟会長、明治大学駿台体育会名誉会長、明治大学体育会卓球部総監督、公益財団法人日本卓球協会評議員。また同社の関連会社として、VICTAS、タクティブ、スヴェンソンスポーツマーケティングの卓球関係の会社を運営する。使用クラブは、5年ほど前にゴルフを再開したときに阪田哲男さんがセレクトしてくれたゼクシオ。「ドライバーからすべてゼクシオです。打ちやすくて飛ばせるいいクラブです」という。

真名CCゲーリー・プレーヤーC開場時に同組でラウンド  「本当によく飛んで、ほれぼれするような弾道のボールを打っていましたね。でもね、私も彼から上手ね!って褒められたんですよ」

 「南アの黒豹」「ブラックナイト」と恐れられたプレーヤーのウエアは、ここでもやはりブラックだった。


週刊パーゴルフ(2017年10月31日号)掲載 / 写真・鈴木健夫

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