森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント フジサンケイクラシック&フジサンケイレディスクラシック「メディアの看板トーナメント」(1)

2回目からはフジサンケイの看板のみで大会を開催

 周知のように、陸軍省経理局のエリート将校だった鹿内は戦後、日本電子工業の設立に奔走し、経済同友会や日本経営者団体連盟(日経連、後に経団連に統合)の旗揚げに尽力した大物財界人である。住銀の法皇と呼ばれた堀田は、鹿内の財界人脈の一人だ。鹿内はフジテレビ初代社長の水野成夫とともにフジサンケイグループの礎を築いた。もっとも、もともと記者や編集、番組編成経験のあるマスコミ人ではない。あくまで実業家の目線でフジサンケイグループを率いた。ゴルフトーナメントを始めた発想も、テレビ事業者としてのビジネスチャンスと見たからに違いない。

「鹿内さんは日経連から来た、いい意味での商売人でした。社内における鹿内さんのスピーチは、ニーズを掘り起こして商売しろ、と口グセのようにいっていましたが、ゴルフトーナメントもその一つだったんだと思います。テレビ、ラジオ、新聞……それぞれの会社が特徴を生かし、ゴルフトーナメントのスポンサーを探す。そうすることによって、フジサンケイグループ全体の催事を盛り上げる。そういう発想で、フジサンケイクラシックをつくったのだと思います」

 フジサンケイクラシックは初回こそ下着メーカーのBVDが冠についていたが、第2回大会以降からテレビ・ラジオ・新聞のメディア企業ミックスによるトーナメントとして定着していった。来る9月に45回目を数える日本屈指の老舗トーナメントであるとともに、フジサンケイグループというメディアの看板イベントという特徴を持っている。

 トーナメントは、長男でグループ議長となった春雄に受け継がれ、現在は日枝が陣頭指揮を執っている。82年には、女子のフジサンケイレディスクラシックがスタート。周知のように女子は、世界の人気ゴルフ場にランクインし続ける川奈ホテルゴルフコースで行われているが、フジ・メディアHD会長の日枝はその期間中、川奈ホテルでグループの経営方針や役員人事を練るのが恒例になってきた。この6月末の株主総会で、視聴率低迷の責任を取り、社長の亀山千広とともに正式にフジ・メディアHDの会長から取締役相談役に退くが、それを決心したのもこの時期だ。もっとも日枝本人は、フジサンケイグループ代表というポストにとどまり、この先もグループ全体の取りまとめ役を担う。

 男女二つのゴルフトーナメントは、フジサンケイグループとしての大きな催事として位置づけられており、そこに懸ける日枝の思い入れは、人一倍強い。

(敬称略・以下、次回)
Written by Isao Mori
※週刊パーゴルフ(2017年7月4日号)掲載


森功(もり・いさお)
1961年生まれ、福岡県出身。確かな取材力と筆力で真相を抉るノンフィクション作家。2008年『ヤメ検』、09年『同和と銀行』(ともに月刊現代)で2年連続「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。ゴルフ歴15年

※次回は8/15(火)更新予定


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