あの頃ボクは若かった 昭和の履歴書 vol.16 -渡辺司-

青木功の計らいで環境がすべて変わった

「父と青木さんのおかげで今の僕があるんです」
「父と青木さんのおかげで今の僕があるんです」 【拡大】
 意外にも、プロ合格後のほうが居場所がなくなった。ライセンスは取っても、出場権がなければブラブラしている他にない。そんな息子を見かねた父が、取材で親交のあった青木功に息子を頼み込んだ。父とともに青木に挨拶(あいさつ)に行くと、こういわれた。「オレのいうことが聞けるか?」。相手は絶頂期のトッププレーヤー。父が頼み込んだ手前もある。「ハイ」と答える以外の選択肢はなかった。「じゃあ、ゴルフ場へ行け」とだけいわれた。

 紹介してくれたのは、青木が改造を手がけた東ノ宮CC(栃木県)。給料はたったの5万円でコースに住み込んだ。友達もいないし、お金もない。「やることがないから暇つぶしにコースを回ったりアプローチの練習をしたりしていたね。試合みたいな速いグリーンで練習したいといえば、練習グリーンをそんなふうにしてくれたりもして」と、青木の紹介なので待遇が悪くないことも幸いした。秋の予選会で上位に入り、試合に出られるようになった。

 このころのことを振り返り、渡辺はこう考えるようになった。「何かを手に入れようと思ったら、手の中にあるものを全部出さないとダメなんだと思うんです。東ノ宮に行って僕は、友達と遊びたい気持ちとか全部手から出さざるを得なかった。だからゴルフの技術が手に入った。何かを手放さなければ新しいものは入ってこない」。確かに、抱えられるものには限りがあるのかもしれない。

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