取材の現場から

直近で有観客が濃厚なのはフジサンケイだけ JLPGA主催のサロンパスが流れを決める?

すでに女子ツアーが開幕しているが、3月中に行われた4試合のうち、観客を入れたのは開幕戦のダイキンオーキッドと第4戦のアクサレディスの2試合だけ。4月に開幕する5試合中すでに4試合が無観客開催を発表しており、可能性が残されているのはフジサンケイレディス(4月23~25日)のみだ。同大会は、人数は制限されるものの、観客を入れての開催となることが濃厚だ。

しかし、その後もどうなるかは未確定だ。公式戦初戦で2021年10戦目に当たるワールドレディス サロンパスカップ(5月6~9日)は、日本テレビ放送網との共催とはいえ、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が主催者になっている。この大会がどうなるかは、その後を占ううえで大きな役割を果たす。現在、水面下での話し合いが佳境に入っているというが、ツアーが主催者としてプロの生命線であるファンを入れるためにどれだけ努力し、それをどう形にできるのか。共催の日本テレビや特別協賛の久光製薬との関係も含めてスタンスが試されている。

新型コロナウイルス感染者の数や変異株の状況に一喜一憂する世の中の風潮に、振り回され続けるツアー。無観客の試合にも、もちろんさまざまな工夫はある。例えば、先週のヤマハレディースオープン葛城なら、契約プロたちのバーディ数をファンに当ててもらうプレゼントクイズ「バーディチャレンジ」で、視聴者との距離を短くした。他の大会でも、ネット配信に力を入れたり、それぞれが努力しているのは間違いない。ツアーがもっと腹をくくれば、流れも少しずつ変わるのではないか。

感染拡大にただ怯えるばかりだった昨年の今ごろとは違い、感染対策がある程度確立した今年も、無観客試合が当たり前のように続くのはなぜなのか。以前から報じているとおり、大半の試合主催者がツアーでなくスポンサー企業であることが最大の理由だ。リスク回避が最優先されている。

努力している主催者も、もちろんいる。その一方で「中途半端に観客を入れても金がかかる。感染対策も面倒。世間体もあるし無理しなくてもいい」という姿勢の主催者が決して少なくないという実情がある。たとえ人数限定でも観客を入れるには、駐車場を借り、ギャラリーバスを手配し、スタンドや仮設トイレを設置するなどの経費がかかる。当たり前だが、どんなに気をつけても無観客よりは感染リスクは上がる。何かあったとき、責任は誰が取るのか。押し付け合っていては何も始まらない。ツアーが腹を決めて観客を入れることをプッシュしない限り、企業が観客を入れる気にならないのも無理からぬところだ。

感染状況、特に開催地の状況を鑑みることはもちろん大切だ。しかし、プロスポーツにとって、観客を入れて興行を行うことは極めて優先順位の高い事項なのも間違いない。これまで観客収入に頼らず、スポンサー依存体質だった日本ツアーだからこそ続けられる無観客試合だが、これを機に根本的に見直す必要があるのではなかろうか。取材の過程で、ある関係者がふと漏らした言葉が忘れられない。

「観客を入れるか入れないかの問い合わせが思ったよりないんですよね。ヤバいと思います」

ファンあってのプロスポーツ。現地に足を運んでくれるファンは、その中でもコアな人たちだ。大切なファンが試合を見に行けないことに慣れてしまわないうちに、早く手を打たねば大変なことになる。スポンサー企業にとっては、年にたった1試合のイベントかもしれないが、ツアーにとっては選手・職員全体の未来が懸かった、どれも大切な試合なのだから。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※週刊パーゴルフ2021年4月20日号「芝目八目」より

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