取材の現場から

R&A、USGAが飛距離規制に向けて一歩 ボールが飛ばなくなっちゃうの?

2月2日、ゴルフ規則を統括するR&AとUSGAから、飛距離を抑制するためにゴルフ用具に関して3つの提案が公表された。背景にあるのは、昨年2月に同2協会が公表した「ゴルフにおける飛距離の影響」である。そのリポートで、特に最高レベルの競技でのさらなる飛距離の増加はゲームの挑戦という要素を著しく減じる、と述べている。また、コースの拡張や難易度アップが起こっていて、費用面や環境や生態系の問題にも悪影響を与え、さらにプレーのペースが遅くなる、と言及している。

米PGAツアーの飛距離上位20人の平均は、1995年に278ヤードだったものが、2003年には303ヤード、19年には310ヤードと伸びている(03年、19年のデータは欧州ツアーも含めたもの)。もちろん用具だけでなく、スイングやフィジカルの改善等も影響しており、ブライソン・デシャンボーに代表されるように350ヤードを楽々超えるプレーヤーも現れている。

提案は、①クラブの長さ:パターを除くクラブの長さを46インチに制限するローカルルールの採用を可能にする。②ゴルフボールのテスト方法の変更:最大飛距離規制の317ヤード(+許容誤差3ヤード)は同じであるが、テスト条件がヘッド速度120mph(約53.6m/s)、打ち出し角10度、バックスピン2520Rpmから、ヘッド速度は同じで打ち出し角7.5~15度、バックスピン2200~3000Rpmに変更。③反発係数の許容誤差の変更:許容誤差を3分の1にするという内容である。

日本ゴルフ協会(JGA)に確認したが、「ゴルフの発展のために、用具規則について開かれた議論を進めている過程で、提案に対して特に利害関係が生じるメーカーからのご意見をいただきたい。まだ、決定したわけではないことに留意してほしい」とのことであった。

そのメーカーであるブリヂストンスポーツ広報担当は「まだ発表されたばかりなため、どのような影響があるかなど検討中」、またダンロップ広報担当は「ルール化されればその規定内で企画開発を行い、市場でも各社同条件下での商品開発競争になるので影響はないと思います」とのことであった。これら提案に対しての意見の締め切りは①に対しては3月、②③に対しては8月である。

私見ではあるが、クラブ長さはプロ競技などで46インチ制限を採用できる規則のため、一般ゴルファーへの影響は少ないと考える。ただ、ボールテスト方法の変更は少なからぬ影響が出るかもしれない。現在は前述した条件下で317ヤード以内をクリアすればよいので、実際には、例えば同じヘッド速度でも高打ち出し・低スピンで打てば317ヤードを超えても規則上問題なかった。しかし、変更されれば幅広い条件で網をかける方式になるので、開発の自由度が狭められる可能性がある。反発係数も、上限ギリギリを狙っているクラブに影響が考えられる。

いずれにせよ、一般ゴルファーにとっては300ヤードは夢のまた夢ではあるが……。

(ゴルフジャーナリスト・嶋崎平人)
※週刊パーゴルフ2021年3月2日号「芝目八目」より

週刊パーゴルフ2021年3月2日号(2月16日発売)の芝目八目では、以下のようなラインアップでゴルフ界の気になる最新情報をお届け中です。
●沖縄県独自の非常事態宣言が延長 ダイキンの観客動員はどうなる!?
●コロナ渦で試打会やショップに行きづらい今、三菱ケミカルのシャフトレンタルが急拡大中!
●ルールの勉強にアマチュアへのマネージメント講習 プロキャディも忙しいオフを過ごしている
●R&A、USGAが飛距離規制に向けて一歩 ボールが飛ばなくなっちゃうの?
パーゴルフ編集部インスタギャラリー