取材の現場から

コロナ禍で進んだスルー化とバブル施設の老朽化が、日本のゴルフ文化をガラガラポンする!?

コロナ禍の影響下で盛んに使われた「新しい生活様式」という言葉。ゴルフライフの中で最もそれに当たるのは、スループレーの普及だろう。「3密」を避けられるレジャーとして注目が集まることになったゴルフだが、昼休憩のレストランで不特定多数に接触することになっては元も子もないと、スループレーの需要が一気に高まった。

その動きにいち早く、かつ積極的に対応したのがゴルフ場運営大手のPGMだ。

「4月に緊急事態宣言が発出されてすぐ、全ゴルフ場で順次スループレー枠の公開を始めました。それ以前からスルーを基本にしていたコースはもちろん、それ以外のほとんどのゴルフ場もスループレーに転換しました。以来、9月まではスルーの枠を積極的に公開してきました」(PGM広報)

“9月まで”ということは、スループレー推進の方針は変わってしまったのか?

「いえ、そういうことではなく、弊社では“ウィズ・コロナ”の時代にはスルーは必要と考えています。枠が減っているのは、あくまで季節的な要因ですね。10 月以降は日が短くなりますので、どうしても早朝や午後のスルー枠は取りにくくなります。ただし、平日などティシートに余裕があれば、ハーフターン時にそのまま後半ハーフに出ていただく、といった柔軟な対応は行っています」(同前)

しかし、このところゴルフ場が盛況で、平日であってもかなりの組数が埋まっているコースも多いと聞く。そうなると、やはり日が長くなる春までスルーの枠は限られるということか。

「ただし、弊社グループコースの中には、スルーを基本にしているコースがいくつかあります。元来、地域全体がスルースタイルの北海道や沖縄以外にも松島チサンCC大郷C(宮城県)、KOSHIGAYA GC(埼玉県)、東京ベイサイドGC(千葉県)、名阪チサンCC伊賀C(三重県)、多治見北GC(岐阜県)がそうでしたが、コロナ禍におけるスルー需要の高まりを受けて、玉造GC若海C(茨城県)、ピートダイGCロイヤルC(栃木県)もスループレーの運営に変更しました」
同じくピートダイGCロイヤルC
同じくピートダイGCロイヤルC
コロナ禍ですっかり“スルー派”になったゴルファーにはうれしい情報だが、新たに加わった2コースは36ホールあるうちの18ホールという位置づけであるため、昼休憩を望むメンバーの理解を得やすかったという事情もある。

一方、大手のようにスルー重点化コースを戦略的に配置するといったことのできない運営会社も多い。独立系も含めたスルー普及度はどうなっているのか? (一社)日本ゴルフ場経営者協会・専務理事の大石順一氏はこう語る。

「4月から6月まではスループレー化が大きな流れでしたが、7月以降は徐々に従来の昼休憩を挟むスタイルに戻りつつあります。そこはやはり、ゴルフ場側としてはレストラン等の雇用の維持もしなければなりませんしね。ただ、一方で食堂をアウトソーシングしているコースなどでは緊急事態宣言下でのスルー営業により業者が採算が取れなくなって撤退し、やむなくスループレー化に舵を切ったケースもあります。私見ですが、コロナ禍はゴルフ場が多様性な価値観に対応する業態へと転換するきっかけになるのではないでしょうか。豪華なランチを提供するコースもあれば、ランチもロッカーもシャワーもオプション化して、いらない人からはそのぶんの料金を取らないコースが増えてもいいのでは」

バブル期にできたコースが施設の更新時期を迎えていることもあり、半世紀にもわたって金太郎飴的にどこのコースも同じようなサービスを提供してきたゴルフ場が、消費者に選択肢を提示できる業界へと変革することを大石氏は期待する。ある意味、ゴルフ場は新生活様式に対応する最前線といえるのかもしれない。

(本誌・金子信隆)
※週刊パーゴルフ2021年1月19・26日合併号「芝目八目」より

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