取材の現場から

プロテスト未合格者たちがサポーターと一体で戦う「サンクス・ウィメンズ・ゴルフツアー」にブレイクの予感

2020年度から日本女子ツアーはプロテスト合格者しか出場が認められなくなったため(一部、例外を除く)、元単年度登録選手やアマチュア資格を放棄している女子プロ予備軍などは、ミニツアーなどの試合やイベント、アルバイトなどで生計を立てている。しかし新型コロナウイルスにより、その手段も限られ、多くの選手が試合の場、職場を求めているのが現状だ。

その窮状を救う大会が、20年9月24日に裾野カンツリー倶楽部で開催された(18ホール・ストロークプレー)。名称は「サンクス・ウィメンズ・ゴルフツアー」。冠スポンサーに頼らず、チケット売り上げを賞金の原資とする大会として、ツアープロコーチで大会の運営事務局代表の和田泰朗が考案したものだ。

チケット売り上げが賞金となるため、大会は合理的なアイデアが採用されている。参戦は自ら1枚2万円のチケットを5枚以上売ったプロに限られる(上限は10枚)。一方、チケット購入者は「観戦中、フェアウェイに入ってプレー中の写真や動画が撮り放題(もちろんプレーに支障がない範囲で)」、「SNSでの生配信もOK!」という、従来の常識では考えられない観戦の楽しみ方が可能だ。

とはいえ、やはり多少なりともプレーへの影響はあるのではないかと思うが、プロは「撮影は気になりません。プロテストに受かってコロナ禍が過ぎれば、試合でも音はするはず。その練習だと思えばいいだけです」と、異口同音にポジティブな感想を口にする。

またプレー後にファン(大会では「サポーター」と読んでいる)と直接触れ合う機会もあり、パワーをもらえることもありがたいようだ。当然、ファンは「2万円のチケットでも十分元が取れます」と、大喜び。Win‐Winの関係ができていた。

反省点がほとんど聞かれないほど大会は大成功となり、すでに第2回大会も60人の出場枠がすぐに埋まる盛況で12月11日に同コースで開催済み。3月に始まるプロテスト1次予選会終了後の4月に、第3回大会が開催されることも予定されている。

「ツアー」と名がついている同大会だが、第1回大会開催前は2回目の開催も白紙だった。しかしプロ、ファンともにニーズがあることが分かった今、21年は「ツアー」らしい試合数が開催される可能性が高いだろう。また、この大会のノウハウを参考に全国各地で同様の大会が開かれるようになれば、選手、ファンにとっては最高に幸せなトーナメントの形となるはずだ。

(本誌・中澤浩治)
※週刊パーゴルフ2021年1月19・26日合併号「芝目八目」より

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