取材の現場から

大学生の活躍が目立った日本男子ツアー 21年もツアープロを脅かす選手が続くのか?

2020年は例年になく日本男子ツアーで大学に通うアマチュアの活躍が目立った。日本オープンでは2日目を終了して河本力(日体大3年)が単独首位に立ち、最終的に杉原大河(東北福祉大3年)とともに5位タイでローアマチュアを分け合った。また、三井住友VISA太平洋マスターズでも中島啓太(日体大2年)が優勝争いの末に3位。いずれも女子ツアーのプラチナ世代と同世代の若さだ。

なぜ、これほどまでにアマチュアが活躍できたのか。ジュニアゴルフに明るいツアープロコーチの井上透は、こう分析する。

「例年、プロは春からツアーのタフなセッティングや高速グリーンで毎週戦って、感覚が研ぎ澄まされたところで日本オープンを迎えます。しかし、20年は新型コロナウイルスで試合中止が続いた。そうすると例年タフなセッティングでの経験が少ないまま日本オープンに挑むアマチュアとの間にあった“感覚差”がなくなり、もともと技術力があるトップレベルのアマチュアにチャンスが生まれたのだと思います」

また、日本オープンでラウンドリポーターをしていた田中泰二郎は「大学生も日本学生や日本アマなどが中止となり、目標が日本オープンの一点集中になったことがあるでしょう。さらに、金谷拓実選手がアマチュアでツアー優勝したりして、大学生たちは『自分にもできる!』と思っているのでしょう」と、相乗効果を理由に挙げる。
中島啓太もツアー優勝にあと一歩まで近づいた
中島啓太もツアー優勝にあと一歩まで近づいた
そう聞くと今後もプロを脅かす大学生アマチュアが続々と現れることが期待されるが、井上はそう話は簡単ではないという。

「今の20歳前後の選手は、石川遼、宮里藍を見てゴルフを始めているので、多くの子が小学生のころから高い熱量でトレーニングや練習をし、全国に多くのライバルがいます。だからレベルも高いし、層が厚い。でも、それは一方で中学、高校からゴルフを始めるのではトップにいくには遅すぎるという現実を生んでいるのです」

そこから生まれる諦めが、少し下の年代の選手層を薄くする要因ともなっているという。事実、試合に出るジュニアゴルファーは減っており、特に今の男子ツアーは魅力がないため、ジュニアは少なくなっている。

「だから松山英樹、金谷拓実みたいな選手は今後も時々出てくるでしょうが、強い選手がまとまって出てきて“〇〇世代”を構成するとなると、男子の場合は中島啓太選手の学年で終わると思います」

厳しい言い方に聞こえるが、それが現実ということなのだろう。次の「○○世代」をつくるには、男子ツアーにも渋野日向子のようなスーパースターが必要なようだ。

(本誌・中澤浩治)
※週刊パーゴルフ2021年1月19・26日合併号「芝目八目」より

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