取材の現場から

シニア以外のほとんどが無観客だった国内ツアー 21年は生で試合を見られるのか?

2021年、ゴルフトーナメントを安全に開催し、観客がそれを楽しむためのカギを握るのは何か。クラスターを起こさない対策のヒントは、20年のシニアツアーにあった。

21年の日程を国内男子、女子、シニアツアーともにすでに発表(シニアは6月まで)。いずれのツアーも来季はできる限り観客を入れて試合を開催することを模索している。ゴルフツアー関連5団体(日本ゴルフ協会、日本プロゴルフ協会、日本女子プロゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構、日本ゴルフトーナメント振興協会)が、感染症対策ガイドラインを12月3日にバージョン4にアップデートしているのも、その表れだ。

前半戦の大会は既に、開催可否ではなく「観客を入れるか否か」、「プロアマ、前夜祭を行うか否か」から検討する段階に入っている。残念ながら無観客の方針になりつつある試合もあるが、ファンに生で見てもらうことこそプロスポーツ本来の姿。前向きに準備を進めている大会も多い。

そもそもゴルフは広い屋外で行われ、比較的、密になりにくいスポーツだ。にもかかわらず、プロのトーナメントが観客を入れることを躊躇したのには「スタジアムのように決まった席にずっと座って観戦するわけではなく、人の動きがコントロールできない」、「人気の組に人が集まりやすい」という二つの大きな理由がある。全国各地をツアーが移動し、遠くから観戦に来る場合も想定してのことだった。

感染拡大が収まったわけではないため、21年、観客を入れるためには「①観客がマスク装着などの対策をすること、②観客同士がソーシャルディスタンスを保つこと」を考えなくてはならない。

有観客での大会準備を進めている運営関係者がいう。

「マスクをしてもらうことを徹底するのはもちろんですが、ソーシャルディスタンスを保ってもらうためには、(ギャラリー整理のための)ロープに(距離を可視化するための)印をつけるなどの方法を考えています。日傘を考えている試合もあります」

「日傘」とは、20年のマルハン太平洋シニアで日本プロゴルフ協会(PGA)が先着順で観客に配布したものに倣ってのものだ。このときは、大会2日間と翌日のエキシビションで計4000本を用意。真夏の大会とあって、広げて使えば熱中症予防にもなり、日傘同士がぶつからないようにすれば、ソーシャルディスタンスも保てる一石二鳥。選手のサインも、これにもらえると好評を博した。初日1707人、最終日2100人の観客が入り、無事、大会を終えている。各大会が日傘を用意するとなると予算が必要だが、自分で日傘を持参してくれた人には何らかのサービスをするなどの案が出ている大会も複数あるという。

コースのレイアウトにもよるが、人気選手に人が集中してしまったり、クラブハウス周辺が混雑することを避けるためには、動線をコントロールする必要がある。ホールを横切るクロスウェイを減らしたり、一部を一方通行のようにして、横方向の往来を減らしたり、人と人とが向き合わないようにすることも各大会で検討している。クラスターを起こさないためには、観客側の協力も必要になる。

無観客の試合が続いたことで、観客がプロの試合の一部を構成する大切な要素であることが逆に浮き彫りになった20年。規模は小さくとも、一定の観客を入れる決断をしたシニアの試合での大きな拍手に感動を覚えた選手、関係者は多かった。21年は、より多くの試合が拍手に彩られ、プロスポーツとしての輝きを取り戻すための準備が、着々と整えられつつある。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※週刊パーゴルフ2021年1月19・26日合併号「芝目八目」より

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