取材の現場から

獲得賞金ゼロで終戦。S・ランクンは微笑みを取り戻せるか

2019年のニッポンハムレディスで日本ツアー初優勝を遂げたタイ出身のS・ランクン。16年にはタイで、17、18年には中国でも賞金女王に輝き、日本でのデビューイヤーとなった昨年は4000万円近い賞金を稼ぎ、初シードを獲得した。順調にキャリアを積み上げているように思えたが、今季エリエールレディスオープンの予選でひっそりとシーズンを終えた。

毎年この大会の結果次第でシード圏内に滑り込む、またはQTを受験するなど、悲喜こもごものシーンを目にするが、彼女の場合はもう少し深刻だ。今季出場した11試合で1度も予選を突破することができなかったのだ。当然、獲得賞金はゼロ。彼女にいったい何があったのか。話を聞くと、

「去年初めて日本に来ましたが、体調もあまりよくなく、体重がすごく落ちました。筋肉も落ちてしまって、そこからスイングが少しおかしくなってしまいました。体重を増やして、筋肉トレーニングもしてきましたけど、やはりスイングがあまり体にマッチしていない状況です。ケガをしているわけではないですが、すべてがバラバラになってしまって」

もともと食べても太らない体質であること、加えて慣れない日本でのハードな転戦が追い打ちをかけ、体重はみるみる落ちていった。そして、いまだ出口の見えないコロナウイルスの感染拡大……。生活のリズムが一変してしまった。

ランクンは昨年の反省をふまえ、今年から食事面にも気を配り、体力強化に取り組んでいる。そして試行錯誤しながら、体とスイングのバランスを整える努力を続けている。本来なら、母国タイに戻って来年に向けての調整をしたいところだが、

「コロナの影響でタイには帰れないので、日本で体力トレーニングをして基礎体力をつけようと思っています」

今季の国内女子ツアーは新型コロナウイルスの影響で、20年と21年が1シーズンになった。今年はどん底まで調子を崩してしまったが、シード権を持つランクンにはまだ猶予がある。これは不幸中の幸いかもしれない。来春の開幕までに調子を整え、“微笑みの国”出身らしく、笑顔を取り戻してほしい。
2019年ニッポンハムレディスクラシックで初優勝したS・ランクンと父・スラットさん
2019年ニッポンハムレディスクラシックで初優勝したS・ランクンと父・スラットさん
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