取材の現場から

敗戦確実となったその瞬間もコースにいたトランプ氏 大統領職から退くことでゴルフ界に与える影響は?

現地時間の11月7日、ジョー・バイデン候補の当選確実が伝えられたとき、ドナルド・トランプ大統領は自身が所有するバージニア州のゴルフ場にいた。

日本でもその姿は報じられ、「こんなときにもゴルフしてるのかよ」と、自分もゴルファーながら驚いた人も多いのでは? 以来、法廷闘争に持ち込もうとするなど一向に敗北宣言する気配もなく今日まできているトランプ氏(11月13日現在)、ハッタリなのか本当に自分が正当な勝者だと信じているのか、気にすることなく敗戦確実となった翌日の8日も余裕で連チャンゴルフを楽しんだ。2017年1月に大統領に就任して以来、295回目のラウンドである(米・ゴルフニュースサイト、GNNのカウントによる)。

どうだろう、年平均にして約74回という回数は? もちろん一般ゴルファーの感覚からすれば、“週イチ以上”は十分多いが、トランプ氏のキャラクターや、米国内12カ所、国外5カ所のゴルフ場オーナーであることを考えれば、正直驚くほどでもない気がするのは記者だけであろうか。

しかし、同じくゴルフ愛好家で知られる前任者のバラク・オバマ氏が在職中にラウンドした回数は、8年間で300回強。期間は半分で回数はほぼ同じである。

さらに、大統領ともなるとプライベート時間に何をしようが個人の自由ともいかない。前出GNNによると、トランプ氏がゴルフをすることで国庫から支出された金額は総額で数千万ドル(数十億円)に上るという。その内訳の一例を挙げると、シークレットサービスが警護のために使用するカートのレンタル料が少なくとも55万ドル(約5700万円)、同じくSPがトランプ氏所有の宿泊施設に滞在することで50 万ドル(約5200万円)以上を支払っている。大統領は何をするにも莫大なカネがかかるのだ。

トランプ氏のカネにまつわる問題といえば、ニューヨークタイムズが一連の納税疑惑とともに報じたのが、大統領は4億2100万ドル(約437億円)もの負債を抱えており、その大部分が2022年に返済期限を迎えるというもの。トランプ氏は取り立てから逃れるため、何としても大統領職にしがみつきたいという見方だ。

もし、ホワイトハウスから追われ、借金も返せないとなると、ゴルフ場も売却せざるを得なくなるかもしれない。そうなったときに期待されるのが、トランプ氏所有のターンベリーが全英オープン開催コースとして復帰する可能性だ。トランプ氏の度重なる人種差別発言等を問題視したR&Aが、ローテーションから外すことを15年に決断した。長年にわたり全英オープンで競技委員を務めたゴルフ場設計家の川田太三氏に見通しを聞いてみた。

「ターンベリーを外したことはかなり思い切った決断でしたから、トランプの持ち物でなくなったからといって、そう簡単に復帰させることはないでしょう。ロイヤルポートラッシュやカーヌスティなど、素晴らしいコースでも何十年も開催がなかった例もあります。ただ、全英になくてはならないコースであることは確かで、マーティン・エバート氏が施した改造の評価も高いので、R&Aも内心では戻したいはず。トランプが売却したときに備えて必死に復帰の大義名分を探そうとするのではないでしょうか」

トランプ氏の行くところ騒動あり。大統領選出馬を表明して以来、ゴルフ界も振り回されっ放しなのである。

(本誌・金子信隆)
※週刊パーゴルフ2020年12月1日号「芝目八目」より

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