取材の現場から

無残に枯れた姿から10日で緑になった オーガスタの回復ぶりに全米が驚いた!

11月12日の開幕まであと1カ月まで迫ったマスターズだが、9月末にユーリカアースという空撮会社が空から見たオーガスタナショナルGCを映した写真を公開。これを見て「ギョッ!」と目をむいた人も多いかもしれない。毎年4月のマスターズでは緑の絨じゅう毯た んのような美しいフェアウェイが、なんと見事に真っ茶色。グリーンを除いてコースが一面枯れた姿は、あまりにも違いすぎる……。

が、驚くことはない。これは「オーバーシード」の作業工程の一部。夏の暑さが和らいだ9月末に一度芝を枯らし、寒地型のライグラスの種を蒔ま いて芝を育てる工程で、オーガスタでは例年行われていることだ。

オーガスタは毎年マスターズを終えてから5月にコースを閉じ、暑い夏は完全にクローズ。例年10 月にオープンされるから、グリーンジャケットを持つメンバーたちがコースをエンジョイするのも実は年の半分だけなのだ。ライグラスが休眠する夏場は暖地型のバミューダ芝が敷かれているが、これはあくまで雑草がはびこるのを防止したり、ライグラスが根づきやすくするためのベースの役割。バミューダでプレーすることは前提にしていない。

さて、この茶色に枯れたコース、果たして11月には緑になるのか……と不安になるほどの色だったが、わずか10日後、10月初旬に再び公開された写真は見事に緑を取り戻していた。「まるでマジシャンのようだ!」と、こちらの写真にはもっと驚きの声が続出。

コース管理の関係者に意見を聞くと、オーバーシードの過程で芝が茶色になるのは、新しい芝の種が根づく余裕をつくるためにベースの芝に与える肥料を減らしたり、刈り高を低くしたり、レーキで溝を穿う がったりするから。こうした適切な準備をすると、新しい種は5日ほどで芽吹き、10日もあれば十分鮮やかな緑を取り戻すのだという。ましてやコース管理にかける人もお金も桁違いのオーガスタとなれば、驚くには当たらないというわけか。

ちなみに「オーバーシード」は日本では最近あまり行われなくなったが、米国のコースではオーガスタに限らず至って普通のこと。カリフォルニアやアリゾナでも秋になるとコースを一時閉じて種蒔きする。そうすることで真冬でも美しい緑のフェアウェイでのプレーが楽しめる。

美しく仕上がりつつあるオーガスタだが「秋はまだバミューダが残っていて、春のフェアウェイとはかなり違う」とは、2007 年覇者のザック・ジョンソン。フェアウェイの違いがプレーにどう影響するかも興味深いが、一説には紅葉する樹木も新たに植えられたというから、オーガスタが春とはまた違った美しさを見せてくれることは間違いない。

もしかすると一生に一度しか見られないかもしれない秋のマスターズは絶対に見逃せない。

(在米ゴルフジャーナリスト・武川玲子)
※週刊パーゴルフ2020年10月27日号「芝目八目」より

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