取材の現場から

女子のNEC軽井沢72の開催決定も、やはり無観客 シニアは「ミッツポリス」で密を防いで客入れ決行!

「いつになったら生でゴルフの試合が見られるのか?」そう嘆いているファンのもとに朗報が届いた。コロナ禍の中、観客を入れての開催の口火を切るのはシニアツアーとなった。

7月30~31日に今季開幕戦となる「ISPS HANDA コロナに喝!! シニアトーナメント」(静岡県・朝霧CC)を、8月にも同じ大会名で場所を群馬県の赤城GCに移して21~22日に開催する。入場無料でギャラリーにマスク、フェイスシールド、手袋の3点セットを配布。「ミッツポリス」がコース内を巡回して三密を避ける対策を取る。

その一方で、男子、女子の両ツアーは、一向にギャラリーを入れて開催する気配がない。女子は、厳戒態勢で行われた初戦、アース・モンダミンカップに続き、NEC軽井沢72(8月14~16日、長野県・軽井沢72G北C)の開催が決まったが、やはり無観客。男子は無観客どころか最初の試合がどれになるかも、いまだに発表されないままだ。

なぜ、できないのか?関係者を取材するうちに出てきたのが、こんな話だ。

「ツアー関係5団体が作ったガイドラインは、ギャラリーを入れるところまで踏み込めていない。国のイベントに対する制限も徐々に緩和され、7月10日からは屋外では『十分な間隔』で、人数制限は5000人となりました。でも、ゴルフは人が動くのでこれとは別だ、専門家にいわれているんです」

野球やサッカー、大相撲など、座席に座って観戦するスポーツなら、座る場所を空けて指定することで密を避けることができる。ところが、屋外とはいえ自由にギャラリーが動き回ることができるゴルフでは、人気選手の組などで逆に密ができやすいというのだ。

それでも、これを回避し、ギャラリーの動きをコントロールする方法がないわけではない。スタッフがギャラリーの移動を促したり、日傘などをソーシャルディスタンスを保つ“ものさし”にするのも一つの手だ。当面、定位置での観戦のみにしたり、1組について歩く人数を制限するなども考えられる。

それすらできないのは、多くの試合がギャラリー収入(興行)ではなく、主催者(=企業スポンサー)の予算の中で行われているという日本ならではの事情がある。こんな証言もある。主催者の優先順位は ①大会開催 ②プロアマの開催 ③観客を入れる、だというのだ。

大きな比重を占めるプロアマでの接待ができないのに、より優先順位の低い観客を入れる行為を、リスクを負ってまで行おうとするはずもない。

また、もともと興行収入に頼っていないとはいえ、それが激減する中、中途半端に客を入れると経費ばかりがかさんでしまう、とボヤく主催者もいるという。

選手は観客を入れてプレーすることを望んでいる。スポンサーの事情も踏まえた上で、ツアーが主催者に積極的に働きかければどうにかなることもあるかもしれないが、その節もないことは、複数の関係者の話から明らかだ。

シニアツアーはISPSの後、8月末にもマルハンカップ太平洋クラブシニア(29 ~30日、静岡県・太平洋C御殿場C)も開催する。大会翌日には青木功、尾崎将司、中嶋常幸のAONそろい踏みでのイベントも企画。いずれも観客を入れる方向で動いているという。

「シニアはギャラリーが少ないからできるんでしょう」という他のツアー関係者もいるが、それで終わらせていい話ではない。シニアツアーが素晴らしいというのでもない。シニアツアーは、プロスポーツ団体として当たり前のことをやろうと努力し、スポンサーの協力を取り付けた、というだけのことともいえる。

(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
※週刊パーゴルフ2020年8月11日号「芝目八目」より

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