取材の現場から

昨秋の台風で大きな被害を出した市原の練習場。補償問題にコロナウイルスが影を落としていた

新型コロナウイルスの感染拡大は、鉄柱が倒壊したゴルフ練習場の補償問題にも悪影響を及ぼしていた。昨年の9月9日に上陸した台風15号の暴風により鉄柱とネットが倒壊した市原ゴルフガーデンの補償問題は、半年が経過しながら解決には至っていない。

先週の3月20日には災害ADR(裁判外紛争解決手続き)が千葉県市原市の五井公民館で行われる予定だったが、「新型コロナウイルスの影響により見送られた」(担当の秋野卓生弁護士)。住民たちは依然として仮住まいでの生活を強いられている。

一方、鉄柱が倒れた家屋の取り壊しは最終段階。次女が肺挫傷の大けがを負った坂本高志さん宅の解体作業も、17日に大詰めを迎えていた。被害者たちにとって最も気になるのは補償金の問題。解体までは自治体のサポートによって行われるが、その次に来る新居の建て替え費用などの問題はクリアされていない。

昨年あたりから被害者の間で練習場のオーナー側に億単位の負債があるとの噂が流れている。倒壊した鉄柱の撤去は解体業者のフジムラの厚意により無償で行われたが、倒れず残った鉄柱の解体は同社が有償で受注。こちらの費用が約1億円であることもすでに一部で報じられている。

そのため住民の一人は「1億3000万円の負債と1億円の鉄柱撤去費用で2億3000万円。渡邉家の今後の生活費も確保されるため、土地が相当高く売れないと」と、不安視する。

実は、練習場を更地にする工事も難航。練習場の拡張工事の際に撤去されなかった支柱の基礎などが見つかったからだ。2月いっぱいでの終了予定がいったん3月まで延期され、さらに現在は4月末までずれ込んでいる。17日に筆者が現地を訪れた際にも、まだ地中の杭を抜く重機を使用して作業が行われていた。
ほとんど何もない状態になった練習場跡だが、いまだ地中の杭を抜く作業は続いていた(写真・清流舎)
ほとんど何もない状態になった練習場跡だが、いまだ地中の杭を抜く作業は続いていた(写真・清流舎)
練習場のオーナーである渡邉陽子さんは、17日、市原市の自宅で本誌の直撃に応じ、「負債は借金の連帯保証人になったもので、詐欺にあったような感じ」と、債務の存在を認めたうえで、こう続けた。「(土地は)約3000坪。3200……までは、ないと思う。総額で7億あれば十分。主人とも、被害者の方には『後腐れのないように』と話しています」と、補償についても前向きな姿勢を見せた。

秋野弁護士は昨年暮れに行われたADRに関する記者会見の席上、「原因究明は棚上げにして、まず補償問題を」と語っている。だがその補償問題に新型コロナウイルスがブレーキをかけ、早期の決着が難しくなっているわけだ。

前出の坂本さんは「渡邉さん本人を追及するのではなく、我々のような被害者を今後出さないために、真相の究明をしてほしい」と訴えた。ゴルフ業界が回復していくためにも、原因究明と補償問題の解決を1日も早くすべきだ。

(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)
※週刊パーゴルフ2020年4月7日号「芝目八目」より

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