取材の現場から

“鬼”が姿を消した年 最底辺を味わったキム・キョンテが復活V

<カシオワールドオープン 最終日◇1日◇Kochi黒潮カントリークラブ(高知県)◇7335ヤード・パー72>

アマチュア時代から輝かしい功績を残し、プロ転向の翌年には韓国で賞金王に輝いた。2008年から参戦した日本ツアーでは10年、15年と2度賞金王を戴冠。その強さから“鬼”と呼ばれたキム・キョンテ(韓国)だが、今年はすっかり鳴りを潜めていた。

今季はここまで17試合に参戦し、トップ10は2試合のみ。「日本プロゴルフ選手権」からの7試合連続予選落ちはツアーで初めての屈辱だった。「このまま続けていてもいいことはない。もう、何回もゴルフを辞めようと思った」。

歯車が狂いだしたのは昨年の秋。背中を疲労骨折し、治ったと思った矢先に再び症状が出て、練習も満足に行えない日々が続く。「それが治ったと思ったら、今度はパターのバックスイングが上がらない。ひとつ大丈夫だと思ったら、違う部分が出る」。精神面でもバランスがとれなくなり、初めてメンタルコーチをつけてから、ようやく状況が上向きになっていった。

それでも、「きのう(第3ラウンド)の前までは4アンダーが一番良いスコア。優勝できるとは思っていなかった」。第3ラウンドを終えて、首位とは3打差。最終日は8バーディ・ノーボギーの「64」をたたき出し、逆転優勝を決めた。「2010年に賞金王になって、13、14年も悪かったんですけど、これよりは全然よかった。今年は何をしても巧くならなくて、練習もできない。……いろんな事を思い出した」。あまり泣くことがない“鬼”の目が、このときばかりは涙で光った。

16年「ミズノオープン」以来の優勝。今季何度も置こうと思ったクラブを再び握った理由を聞かれると、「やるしかないですよね。家に帰っても、スコアとか見ちゃうので」。ようやく本来の姿を取り戻しつつある“鬼”は、そういって穏やかな笑顔を見せた。(文・谷口愛純)

記事提供:ALBA.Net(GGMグループ)

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