取材の現場から

「父さん、見ててくれたかい?オレたちの戦いぶりを」S・ノリス、弟との二人三脚で天国の父に捧げるV

<トップ杯東海クラシック 最終日◇6日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7295ヤード・パー71>

最終18番パー5で1メートルのウイニングパットを沈めた瞬間、泣き崩れたショーン・ノリス(南アフリカ)。グリーン上にうずくまる身長188センチ、体重100キロの巨体に、先週からキャディを務める弟のカイルさんがそっと声をかけた。

「ほら、いっただろう?父さんがオレたちを見守ってくれているからって」

7月5日、父親のパトリックさんの訃報がノリスの元に届いた。自分にゴルフというスポーツを教えてくれた父であり、人としての生き方、男としての生き様、厳しい社会の荒波を生き抜くための術を教えてくれた父だった。病床に伏していたときから、父のことが気になり、ゴルフに集中できない日々が続いた。亡くなってからもまともな精神状態ではなかったが、そんなノリスをすくってくれたのが家族だった。

「家族と話すうちに、一番下のカイルがボクのキャディをやったらどうかいう話が出たんです。父と体型だけでなく性格も似ているカイルなら、きっとボクを支えてくれるだろうと」

その予想どおり、今大会ではカイルさんがノリスのメンタルを支え続けた。ボギーを叩いて思わず感情的になったノリスに対して、「父さんなら、こんなときこういってくれるよ。落ち着いてプレーをしていれば、必ずバーディはくるよってね」と声をかける。最終日、4、5番で連続ボギーを叩き、6番でダブルボギーを叩いたが、その後の12ホールを1アンダーで回ることができたのも、カイルさんが随所で助言を与えたことも大きい。

「最近、ようやく気持ちが落ち着きました。父も今は痛みから解放され、安らかに眠っているんだろうと考えることで、自分もゴルフに集中できるかなと」

日本ツアー4勝目、今季ツアー初優勝を飾ったが、賞金ランキングも8位にまで上がり、賞金ランキング上位7位の選手に与えられる「ZOZO Championship」の出場権も見えてきた。

「ゴルフの調子が上がってきているので、もしかしたら来週も勝つかもしれないよ」と笑顔を見せたノリス。父の死という哀しみを乗り越えたことで、今まで以上に精神的にも技術的にも強くなったようだ。(文・山西英希)

記事提供:ALBA.Net(GGMグループ)

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