取材の現場から

「ダンクエース」の河本結 ホールインワンを生んだ女子大生プロの緻密な数式

<ニッポンハムレディスクラシック 初日◇11日◇桂ゴルフ倶楽部(北海道)◇6,602ヤード・パー72>

今季ブレイクしたひとり、河本結。昨年はステップ・アップ・ツアーで4勝を挙げて賞金女王に輝き、今季もシーズン3戦目でレギュラーツアー初優勝を果たした。その後も上位常連の河本が、大会初日にホールインワンを達成するなど1イーグル・6バーディ・2ボギーの6アンダーでトップタイ発進を決めた。

10番からスタートし、2ホール目の11番。この日は実測155ヤードで河本が握ったのは6番アイアン。「右からのアゲンストでピンは左手前。ピンを狙ってフェードを打って、風とケンカさせました」。放たれたボールはカップへ一直線。バスケットボールのダンクシュートさながらの「ダンクエース」で一気に流れを引き寄せた。

右からのアゲンストでピンが左なら、グリーンの右方向に打ち出して風で左に流れれば最高、と考える選手が多いところ。実際、右方向を狙って、風に乗りきらずに右手前や右ラフに止まる選手も多い中、河本はまったく異なる発想で計算式をたてた。

「右からの風に乗って左奥に乗ったら、下りのパットで寄らない。それならピンをフェードで狙って、万が一左手前のバンカーに入ってもあそこなら寄せてパーが狙える」と、イメージは万全だった。実際にその場面が到来。そこにフェードを打てる技術力もさることながら、その対策を練習ラウンドなしのプロアマの1ラウンドだけで立てるところも、昨年のプロテストに合格したばかりの実質ルーキーとは思えないレベルだ。

初優勝後は何度も涙をのみ、2勝目をつかめずにいる。5月からは出場4試合連続のトップ3も経験。ところが、優勝争いに身を置く中で、心身ともに疲労が蓄積していった。直後の「アース・モンダミンカップ」では55位タイに終わったが、先週は粘りのゴルフで5位タイ。そして今週はラウンド1回の準備で頭と心をすっきりさせて臨んだ。

勢いとともに、計算、対策、イメージ作りなど、格段の成長を感じている。考え方、攻略法、コースマネジメント、いいと思うことはすぐに取り入れ、他種目のアスリートの言葉などにも幅広く目を向けている。そんな効果もあって、攻めに必要な理論武装を得意とすることに成功している。

ティイングエリアでも、2クラブレングス以内でのティアップエリアを効果的に利用。「157ヤードのホールだと6番アイアンで弱めに『フワッと』と打たないといけないと思ってしまう。でも下がってティアップして、158.5ヤードなら、短く持ってしっかり振ってもいい」と、計算式と自身のイメージを合わせてからショットに入る。「数字は得意です。(学習塾の)公文式にも行っていたから、計算はめちゃくちゃ速いです(笑)」。

初日とはいえ、2勝目に向けてまずは最高の滑り出し。「下手なので、努力するしかなかった」と謙遜するが、河本のゴルフはすべて、なるべくしてなっている。緻密な計算の上に成り立つ大胆な攻めで、残り3日間を戦い抜く。

(文・高桑均)

記事提供:ALBA.Net(GGMグループ)