取材の現場から

取り戻した最高のスマイル 渋野日向子は「めっちゃ早い(笑)」2カ月で2勝目

<資生堂 アネッサ レディスオープン 最終日◇7日◇戸塚カントリー倶楽部(神奈川県)◇6513ヤード・パー72>

雨が降り注いでも、笑顔という太陽が辺りを照らした。渋野日向子が、イ・ミニョン(韓国)とのプレーオフを制してツアー2勝目。黄金世代では畑岡奈紗、勝みなみに続く複数回優勝を達成し、満面の笑みを咲かせた。

風速8.8m/sの強風に、時おり降る強い雨。2打差を追いかけてスタートしたが、バーディを先行させたもののすぐにボギー。折り返してからもボギーが重なるが、首位を走るライバルは淡々とパーを重ねる。バーディを奪っても、相手もバーディ。つけいるスキどころか、4打差まで離された。

そんな悪い流れを一変させたがのが、この日最高の難易度を誇った15番。渋野はパーオンしたものの、バーディパットは15m。スネークラインで上って下り。「長かったのでパーンと打って寄ってくれればと思っていました。ただ、今日は10m以上がショートしていたので必ずオーバーはさせようと思っていました」。このパットがそのままカップに吸い込まれ、この日2人しかいないこのホールでのバーディを奪取。対するミニョンは3オン3パットのダブルボギーで一気に一打差に迫った。

勢いそのままに17番でもバーディを奪ってプレーオフに持ち込むと、1ホール目でミニョンがバンカーにつかまるなどダブルボギーとなるなか、渋野は「オフにたくさん練習したフェースを開いてフワッと浮かせるアプローチ」でパーをセーブ。ツアー最強のショットメーカーとのマッチレースに競り勝った。

国内メジャー「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で初優勝を挙げてから2カ月。「2勝目がこんなに早く来るとは。今年中にとは思っていたけど、めっちゃ早い(笑)」とあっという間に2つ目のタイトルを手にしたが、この2カ月の間、渋野は“らしさ”を失っていた。

目標としていたプロ優勝を果たしたことで、自分に対する期待が膨らんでいった。それは同時に渋野からトレードマークの“笑顔”を奪っていった。「サロンパスのときはゴルフを楽しんでやっていましたが、それからの1カ月くらいは結果を求めていて思うようなゴルフができなくなっていた。今思えば結構、怒りを爆発させていたと思う。優勝したときとは違う自分だった」。「リゾートトラストレディス」では最終日最終組のチャンスをつかんだが、「73」で10位タイ。スコア以上にパターが決まらないたびにイラ立ちを見せる“らしくない”姿がそこにあった。

以降も成績が伸びない日々が続く。そんな渋野を見かねた青木翔コーチに「宮里藍 サントリーレディス」で叱責される。「プレースタイルがよくない、と言われました。そこからは素直に結果を受け入れるしかないと思えるようになった。笑顔を忘れていたのかな。調子がよくないときに笑うのは難しいけど忘れてはいけない」。青木コーチがいうには、「できないことをやろうとして、それが失敗するとラウンド中に怒る。そういうところを見直すように話しました」と、できることに集中させることにしたという。

まさに笑う門には福来たる。翌週の「ニチレイレディス」からはゴルフの調子も上向きに。そして先週の「アース・モンダミンカップ」で4位に入り、海外女子メジャー「全英AIG女子オープン」の出場権を獲得すると、今週はボギーを打っても、プレーオフのため18番ティに向かうときも笑顔を忘れず、新規トーナメントの初代女王の座をつかんだ。

初心を取り戻してつかんだ2勝目。失いかけていた時期があるからこそ、初優勝とは違った感慨がある。最後に咲かせた最高のスマイルは、後ろのアネッサのロゴに負けない輝きを放っていた。(文・秋田義和)

記事提供:ALBA.Net(GGMグループ)

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