取材の現場から

石井理緒、「置いていかれちゃダメだと……」

今年の「ヨネックスレディスゴルフトーナメント」最終日は例年以上の盛り上がりを見せた。まず最終組の顔ぶれがすごい。なんと2人のホステスプロが、7アンダーの首位タイで並んでいた。これはなかなかない組み合わせだろう。

1人は米女子ツアーで活躍するキム・ヒョージュ。23歳とまだ若いが、米女子ツアーで3勝している。しかも、3勝のうちの1勝はメジャー「ザ・エビアン選手権」。2人目は地元・新潟県出身の19歳、石井理緒。そして、最後はこの大会で今季2勝目、ツアー通算15勝目を挙げた元賞金女王・上田桃子だ。

大ギャラリーを引き連れながら、実力者の先輩プロ2人と同組でプレーするのは石井にとって相当なプレッシャーだったろう。
「スタートはすごく緊張しました。でも(1番で)自分が一番ピンに近いところにつけて、2人が先にバーディを取ったので、置いていかれちゃダメだと……」

なんとか食らいつき、バーディで切り抜けた。しかし、歯車が狂い出したのは3番ショート。1.5メートルのボギーパットを外してダブルボギーとした。その後、6、8、10、11、12、14番をボギーとし、スタート時にあった“7打の貯金”をすべて使い果たしてしまった。

「2日目までは自分のプレーだけに集中して、自分にできることを精一杯やろうと思ったんです。今日もそれをやろうとしたんですけど、トップのスコアが気になってしまって。(2人に)置いていかれて、少し焦りました。自分のショットも全然うまくいかなかったし……」

そんな石井の様子に気づいたヒョージュは、「緊張した?」と声をかけてくれたという。ちなみに石井は、大好きな韓流アイドルやドラマから独学で韓国語を学び、一般的な会話ができるまで上達した。石井が「緊張したときどうしたらいいですか?」と質問すると、ヒョージュは「私は何も考えないよ!」とアドバイスをくれたそうだ。

石井はこの試合にチャンスを見出していた。というのも、QT17位の資格で今季の前半戦に臨んでいるが、まもなく行われる第1回リランキングをクリアし、9月までの出場権を得る必要があったからだ。このところ予選落ちが続き、残り試合も少なってきたことから少々焦っていた。しかし、幼い頃から慣れ親しんだ地元コースで絶好のチャンスが訪れた。2日目には久々に60台のスコア「67」を出した。この大会ならやれるはず、と自分に言い聞かせて臨んだ最終日だった。

「リランキングもあって、今日はスコアを落としたくなかったんです。アマチュアのときは優勝しても賞金はないから、(優勝を)狙い続けられたんですけどね。プロになると、賞金は多いほうがいいから、一打でも無理したくないって思って逃げてたんです。そしたら、どんどん逃げる方にいっちゃって……。ホントは(リランキングのことは)考えちゃいけなかったんですよね。2日日は何も考えなかったからよかったんだと思います」

そんな石井に地元の応援団はあたたかった。
「今日が一番多かったと思うんですけど、すごいたくさんの人が歩いてくるのが見えました。最後、調子もスコアも悪くなったけど、励ましてくれたので力になったし、感動しました」

今日の経験は石井にとって決して無駄にはならないだろう。プレー後、石井とヒョージュは「来年またここで会おう!」と約束したそうだ。来年、ひと回り大きくなった姿をヒョージュに見せられるか。石井の奮闘はまだまだ続く。