取材の現場から

ローアマよりもビッグスコア 金谷拓実の上を目指す思考

海外メジャー「マスターズ」のローアマ争いは、近年まれに見る熾烈な戦いになってきた。松山英樹以来、7年ぶりに日本人アマチュアとして出場している金谷拓実(東北福祉大3年)は、予選2日間を通算3オーバーで回り、57位タイ。首位と10打差以内の規定で決勝ラウンドにコマを進めると第3ラウンドは、6バーディ・2ボギーの「68」をマークして39位タイに浮上した。大学1年の秋から目標としてきてマスターズのローアマ獲得が大きく近づいた。

今大会、6人のアマチュアが出場したが予選通過をしたのは金谷を含めて4人。コースが7445ヤード(その前は7290ヤード)に改造された2006年以降では、最多人数。大会として4人のアマチュアが決勝ラウンドに進出したのは、1999年以来、20年ぶりのことだ。ちなみに当時は、セルジオ・ガルシアやマット・クーチャーらがローアマ争いを繰り広げ、ガルシアが38位タイでタイトルを獲得した。

世界のトッププロが苦戦するオーガスタは、アマチュアには厳しい舞台でもある。コース改造された06年から4年連続でアマチュアの予選通過0人が続き、10年以降、12年と16年、17年は2人、それ以外の5年は1人と狭き門だった。4人が通過した今年、第3ラウンドを終えてビクトル・ホブラン(ノルウェー)が通算2アンダー、31位タイ。金谷が通算1アンダー、39位タイ。アルバロ・オルティス(メキシコ)が通算1オーバー、47位タイ。デボン・ブリング(米国)が通算2オーバー、50位タイとローアマのタイトルは最終日の戦いにかかった。

金谷は「練習では出せるとは思わなかった」という60台をマークしたが、高い目標設定が勢いをつけたといえる。「予選を通ったのでどんどんバーディを取りにいこうと思っていました。(東北福祉大の阿部)監督からは『4アンダーを出してこい』といわれていましたが、ボクは66を出すつもりでプレーしました」。練習で出せると思わなかったハードルを、さらに高く上げてスタートした。

その言葉どおり、2番(パー5)でバーディ先行すると前半5バーディ・1ボギーの32。フロントナインにおけるアマチュアの大会最少ストロークタイで折り返す。そして、バックナインに入り、12番(パー3)でバーディを奪うと「あと3つバーディを取ろうと思っていました」とさらなるバーディ量産を目指したが、13番で2打目のミスショット、グリーン上で3パットとミスが重なってボギーとして、勢いが止まってしまったが監督の設定はクリアした。

大きな目標としてきたローアマのタイトルがかかる最終日。「(ローアマの意識は)もちろんあると思うけど、もっと上位でプレーしたら結果は勝手についてくると思う。最終日も今日と同じ気持ちで自分のプレーに集中して、どんどんバーディを取ってビッグスコアを出せれば満足です」。周囲のスコアを意識するよりも、ひたすらバーディを狙ってビッグスコアを目指す。この日流れを変えてしまったミスも糧になるだろう。ちなみに、今日の目標の66をマークして、4日間281ストロークで終えるとアマチュアの大会最少ストロークに並ぶ。高い目標を設定し、上へ、上へと目指す金谷の思考は、歴史に名前を刻む可能性を十分秘めている。