取材の現場から

新生・永井花奈 スイングのテーマは“絞り”

永井花奈は2016年にツアーデビュー。17年樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメントで初優勝。18年も勝利を重ねるかに見えたが、勝ちきれずにシーズンを終えた。

「ショットもパッティングも、レベルを底上げすることが大事だと感じています。でも、今の私に何よりも必要なのは、ドライバーの飛距離アップ。最低でもあと5ヤード、キャリーを伸ばしたいんです」と、永井。

ドライバーのキャリーが5ヤード伸びれば、セカンドショットの番手は1番手短くできる。ウッドで狙っていた場面が、アイアンで狙えるようにもなるだろう。そうすればグリーンをヒットする確率は、確実にアップする。

ドライバーの飛距離アップを目標に、永井が考えた作戦は? 新たにコーチを頼むことだった。これまで永井は、父・利明さんと二人三脚でゴルフの道を歩んできた。ジュニアのころから、コーチをつけたことはなかった。

「上田桃子さんや小祝さくらちゃんと試合でラウンドしたときに、ドライバーの飛距離がキャリーで負けていたんです。身長も体格も私とさほど変わらないのに、スイングのキレとスピードで飛ばしていました。“あの飛距離がほしい”と、二人を教えている辻村明志さんにコーチをお願いしました」(永井)

そして永井は、チーム辻村が2年前から行っているハワイ合宿に1月15日から参加。新しいスイングに取り組み始めた。

最初の課題はインパクトでの手元の浮きを抑えること。わずかだが手元が浮くことで、ボールにパワーを伝え切れていなかったのだという。

「息が上がるまで全力で振り続ける連続素振りに取り組んでもらっています。上体、特に腕の余計なリキミを抜くのに効果があります。全力で振るので、リキミがあったら振り続けることができないんです。そしてインパクトでの腕の絞りをテーマに、スイングを調整しているところです」とは、コーチの辻村。

絞るとは両手でぞうきんを軽く絞るようにインパクトを迎える動きだ。手元を返す動きではない。絞ることで手元が体の正面から外れにくくなり、低く抑えたインパクトを迎えることができる。

「腕の力を使わずおなかから下の力を使って、トップから手元を最短距離でおへその下に落とす意識が大事。体の正面で手元を顔の前に上げ、そのまま真下にストンと両手を軽く絞りながら落とす感じです。腕の力を使うと手元が遠くに落ちてしまいます」と、永井。

手元が遠くに落ちているということは、回転が加わったとき、手元が浮いたインパクトになるということ。

体の正面で手元を顔の前に上げ、上げた手元をおへその下にストンと落とす。この動きに回転が加われば、しっかり手元を低く抑えたインパクトになる。両手で軽くぞうきんを絞るように振り下ろすと、体の前から手元が外れることがない
体の正面で手元を顔の前に上げ、上げた手元をおへその下にストンと落とす。この動きに回転が加われば、しっかり手元を低く抑えたインパクトになる。両手で軽くぞうきんを絞るように振り下ろすと、体の前から手元が外れることがない
手元が遠くにに落ちていると、回転が加わったときに手元が浮いたインパクトになる。ボールはつかまらない
手元が遠くにに落ちていると、回転が加わったときに手元が浮いたインパクトになる。ボールはつかまらない
「絞りを意識するようになって、リキまずにボールにしっかりパワーが伝えられるんだということを実感しました。あとは絞りのタイミングを合わせること。基本的なことですが、頭を残す意識も大事だということを再確認しました」と辻村の教えに、永井は確かな手応えを感じている様子。

プロコーチという専門家に教えを請うことは永井にとって初めての体験。同じ師匠を持つ仲間と共に練習をするのも初めてのことだろう。だが、それが永井にとって前向きな刺激になっているのは間違いないようだ。永井の充実した笑顔がそれを物語っていた。

2月5日まで上田桃子らとハワイ合宿を行った後、永井はシーズン開幕前の最終調整のため一人ロサンゼルスに向かった。

辻村が頭にクラブを当てて、ボールを打つ永井。手元が浮かないインパクトを迎えるためには、頭を残す意識も大事。「顔の左側を面で意識して、その面をアドレス時のまま残すようにするといいですよ」と、永井
辻村が頭にクラブを当てて、ボールを打つ永井。手元が浮かないインパクトを迎えるためには、頭を残す意識も大事。「顔の左側を面で意識して、その面をアドレス時のまま残すようにするといいですよ」と、永井