取材の現場から

[年末特別集中企画]2018-19年版 売れまくり!ヒット商品研究「HONMAツアーワールド TW747」

熱意系ゴルファーの飛びへのこだわりを追求「TW747」
ブランド戦略や商品力、パフォーマンスなどあらゆる角度から検証し、売れている理由を探る短期集中企画の第二弾。今週は、HONMA〈TW747〉シリーズと〈TW-X〉ボールを紹介。熱意系ゴルファーに向けた〈ツアーワールド〉シリーズが、多くのプレーヤーから愛され続けている理由とは。

取材/文・清水 晃(メディアサンライツ)撮影・鈴木健夫、今井 暖(酒田工場取材)デザイン・雷伝舎

HONMAがTW747に込めたグローバル化を見据えた次戦略ツアープロが求める性能を追求し、多くの熱意系ゴルファーから人気の高いHONMA〈ツアーワールド〉。その最新モデル〈TW747〉は、ブランドロゴを一新、キーカラーがオレンジに変更され、より新しさを感じさせるデザインになっている。その開発の裏には何があったのか。担当者を直撃した。


世界戦略を見込して進むべき次の方向性
 "さぁ、封印を解け!"

 11月に発売したHONMAの新製品〈TW747〉シリーズには、これまでのイメージを打ち砕くかのようなインパクトあるキャッチフレーズが用いられている。早速同モデルを体験しようと、ゴルフショップには試打で連日多くの人が訪れている。

 「ドライバーはどれも同じではない、これまで以上の飛びを実現できるクラブだということを〈TW747〉で明確に示す必要があったんです」

 マーケティング本部クラブ企画チームマネージャー・竹田伸氏がそう答えたのには訳がある。クラブのトレンドや市場、周辺環境が大きく変化している中で、今HONMAに何ができるのか。同社はこれまで顔の良さや美しい仕上げ、五感に訴えるフィーリングの良さなどを強みとしていたが、それではゴルファーに伝わりにくいという点が課題に挙がった。

 「HONMAがいいものを提供するのはもはや当たり前です。その上で、分かりやすい新機能を前面に出すことで、新製品により興味をもってもらうことを最優先に検討しました」
 
 2012年に誕生した〈ツアーワールド〉は今作で4代目。同シリーズが登場する以前は"HONMA=シニア向けブランド"というイメージがあったのは否めないが、近年はツアープロへ積極的にサポートし、そのプロの活躍も奏功して、ブランドイメージは着実に変わりつつある。

 「〈ツアーワールド〉を展開し、熱意系ゴルファーのブランドとしての認知度はここ数年かなり高まりました。しかしこれに甘んじず、さらに幅広いゴルファーのニーズに応えた製品の必要性を感じ、そんな中で開発した〈TW747〉は、今後弊社が進むべきグローバル化を見据えた次戦略モデルの第一歩になりました」

 HONMAが目指しているのは世界で通用するクラブ。それだけに、ワールドワイド市場で戦力となる製品への転換を余儀なくされていた。そこで、次なるモデルに竹田氏率いる企画チームが目を付けたのは、水面下で開発を続けていた"あの機能"だった。
「さぁ、封印を解け!」のキャッチコピーとともに、〈TW747〉ドライバーの力強さと、これまでの枠に止まらない大きな飛びを想起させる広告ビジュアル(本間ゴルフホームページより)
他社では対抗できないHONMAの技術力
 その機能とは、シャフトを回転することなくライ角とロフト角、フェースアングルを無段階で調整できるHONMA独自の「ノン・ローテーティング・システム」である。同機能はかつてのモデル〈パーフェクトスイッチ〉に搭載していたが、それを〈TW747〉に再び搭載した格好だ。だが、竹田氏はいう。

 「かつてのものとはまったくの別ものです。約8年かけて約9グラムの軽量化を図り、ようやく製品化できるレベルに達しました。ネック側に重心が偏らないため、ヘッド設計にはほとんど影響が出なくなりました」

 だが、「ノン・ローテーティング・システム」を〈TW747〉に搭載する理由はほかにもあった。ヘッドとシャフトの両方を開発・製造するHONMAだからこそできた、「P-SAT」と呼ばれるシャフトの精密スパイン管理がそれだ。

 「これまでもシャフトの製造段階から、転写と塗装、さらにヘッドを装着するところまで、スパイン(背骨)を一貫して管理していました。かなり手間がかかる作業ですが、すべてのシャフトの方向を管理するのは重要だと考えています。これに『ノン・ローテーティング・システム』の機能を併せて、シャフトが回らないことによるベネフィットが生まれました。ドライバーからアイアンまで、カーボンシャフト装着のクラブセット全体で同じ振り心地になります」

 そして、ヘッド設計も大きく見直された。前作まで素材はチタンだったが、〈TW747〉はクラウンに東レの新素材リブ付きカーボンを採用することで、高強度を実現しながら、極めて薄く、軽量化を可能にした。

 「今、世界のツアーでは直進安定性がドライバーに求められています。曲がりを抑え、まっすぐ大きく飛ばすためには、ヘッドの慣性モーメントを高くするしかありません。そのためには、やはりフルチタンでは限界がありました。そこで並行して話を進めていた新素材を使うことで検討し、想定した設計目標をクリアできるようになりました」

 さらに新機能として、フェースに4つのリブを配置することで、フェース周りの剛性を高め、フェース面の広範囲で反発力を高めた「4ファング・テクノロジー」を搭載。初速アップによる打ち出しを可能にした。

創業から変わらないニーズに応える対応力
 こうして〈TW747〉の二つのドライバーが完成した。当初の見込みどおり、新たな機能を前面に打ち出すことで、これまでの〈ツアーワールド〉とは明らかに違うモデルであることは容易に想像がつく。さらにブランドロゴを一新、カラーを鮮やかなオレンジにチェンジしたのも〈TW747〉に込めたHONMAの強い意思の表れともいえる。

 考えてみれば、HONMAは創業当時からゴルファーのニーズに応えるクラブ作りを得意としているメーカーである。かつては日本人のためのクラブを開発し、その後はシニア向け、そして現在はツアープロの要望に応えるクラブという具合に、レベルや年齢を問わず、それぞれのゴルファーに最適なクラブを開発している。職人の手仕事だからこそ実現する酒田工場のもと、ヘッドとシャフトをトータルで考え、その両方を開発・製造する高い技術力を有しているメーカーは他に例がない。

 「たしかに〈TW747〉は、現在実現できるすべての機能を盛り込んだクラブだといえます。ですが、クラブメーカーは市場の変化に対応する順応力が大切です。常に先を見据えていなければ、今以上に完成度の高いクラブはできません。動向をいち早く察知し、それを素早く具現化するために、これからも酒田工場とギリギリの部分までせめぎ合いながら作業を続けていくと思います」
本間ゴルフ マーケティング本部
クラブ企画チーム マネージャー竹田 伸氏ゴルフクラブ製品企画を担当。ツアートレンド、市場動向などをいち早く察知し、次期モデルの方向性や具体的な製品仕様などを策定している。
複合素材による新ヘッドクラウンに新素材リブ付きカーボンを採用し、チタンボディと組み合わせた複合素材ヘッドを開発。設計自由度が高まり、より高慣性モーメントのヘッドを可能にした
軽量化した調角機能HONMA独自の「ノン・ローテーティング・システム」をさらに進化させ、約9グラムの軽量化を実現。従来のものより重心位置をトウ側寄りに設定できるようになった
徹底したシャフトスパイン管理
シャフトの製造段階においてすべてのシャフトのスパインの位置を管理し、それに合わせて最終工程(転写、塗装)をしている。ここまで一貫してかつ精密に管理しているのは、高い技術力を持つ酒田工場を有するHONMAならではのものだ
本間ゴルフ 製品開発部
シニアマネージャー
佐藤 巧氏
高強度カーボンで実現した
〈TW747〉の新たな試み
〈TW747〉ではこれまでの設計では実現できなかったことが可能になりました。クラウン部の新素材がその最たる例でしょう。複合素材ヘッドの開発は進めていましたが、今回のような高強度でかつ超軽量な素材はなく、この素材の登場により、余剰重量を最適な位置に配分することが可能になりました。しかしながら、私たちは常に前作を超えるクラブを目標に掲げているので、これで完璧というゴールがありません。進化を続けることが最大のミッションなので、これからもよりいいクラブを作ることだけを考えています。ツアープロでもアマチュアでもしっかり飛ばせる、誰が手にしても最高のパフォーマンスを発揮できるクラブを目指していきたいですね。
  • PRECISION SPINE ALIGNMENT TECHNOLOGY
  • 徹底した精密スパイン管理
  • シャフトの製造段階でスパイン(背骨)を徹底管理し、すべてのシャフトで、スパインの向きが同じ方向になるように精査したうえで、シャフトの表裏を設定。これにより、シャフト挙動が均一になり、ドライバーからアイアンまで、カーボンシャフト装着のクラブセット全体で同じフィーリングで打つことができる。
シャフトスパインとは
カーボンシャフトは、平面状のシートを巻いて製造するため、一部が他の部分よりも多層になり、そこが肉厚となって背骨のように最も硬さが出る部分がある。HONMAは製造時にその最も硬い箇所をすべて6時の方向になるよう、管理している。
  • NON-ROTATING SYSTEM
  • シャフトを回さない調角機能
  • 付属のレンチを使って、シャフトの交換やヘッドの調角が可能な「ノン・ローテーティング・システム」を搭載する。シャフトを回転、つまりシャフトの挙動を変えることなく、ライ角は最大+2度、ロフト角は最大±1度、F.A.(フェースアングル)最大±1.5度の範囲で無段階調整が可能だ。
  • CARBON RIB CROWN
  • 新素材で最薄・最軽量を実現
  • クラウンに業界初となる新素材リブ付きカーボン(ET40/東レ社製)を採用し、最薄、最軽量*を実現。内部にリブを設けることで、強度を高めながら、最適なたわみを生む。(*2018年8月31日時点)
  • 4-FANG TECHNOLOGY
  • フェースの広範囲で反発力が向上
  • 「牙」を連想させるリブをフェースの内側に4箇所配置し、フェースまわりの剛性をアップさせることで広範囲にわたって反発力を高め、初速アップを追求。フェース上部でヒットした際のドロップ現象も軽減させた。
[左] TW747 460 DRIVER  [右] TW747 455 DRIVER
●ヘッド素材/製法:Ti6-4 + カーボン(ET40)/鋳造●フェース素材:Ti6-4/鋳造●ロフト角:9.5度、10.5度●ヘッド体積:[460]460cm3、[455]455cm3●クラブ長さ:45.25インチ●価格:[VIZARD For TW747]7万5000円+ 税、[VIZARD FD/FP]8万5000円+税

TW747シャフトバリエーション
VIZARD For TW74750(S、SR、R)先端部と手元部に対して中央部をしっかりさせることで、つかまりの良さと高打ち出しを実現。それでいて、切り返しの際にやさしさを感じさせるやわらかさと、強い切り返しに対してもねじれない強さを併せ持つ

VIZARD FD5(S、SR、R)、6(X、S、SR)、7(X、S)、8(X、S)インパクトで先端部が走る典型的な弾き系モデル。先端部に形状記憶合金を積層し、手元径を細くしている。切り返し時に重さを感じさせない粘り感がある「動的(Dynamic)」と「融合(Fusion)」を実現している

VIZARD FP5(S、SR、R)、6(X、S、SR)、7(X、S)、8(X、S)シャフトの中央部からグリップ下部までのしなりが強い中元調子の粘り系モデル。超高強度高弾性「トレカ® T1100G」を積層することで、しなり戻りの速さと、粘り系特有の「つかまらない」を払拭している

売れまくり商品・ヒットの理由を検証