ゴルフ活性化に向けた実現可能なヒントが兵庫県ゴルフ連盟の「のじぎくオープン」にあった

プロとの真剣勝負にアマチュアの皆さんは緊張しつつも冷静にプレーしていた
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12月4~5日の2日間にわたり、美奈木ゴルフ倶楽部で開催された「のじぎくオープンゴルフ選手権大会」(兵庫県ゴルフ連盟主催)。井戸木鴻樹、藤井かすみら男女シニアプロ30人と、アンダーハンディでアマチュアがガチに戦える大会として、今年で13回目を数える。兵庫県内やその周辺のゴルファーにとっては、レベルを問わずに予選会に参加でき、運も味方すればブロと回れる大会として広く知られている。
プロと回れることに心を躍らせていた赤松顕彦さん(左)と安平康宏さん(右)
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それを証明しているのが、101コースで開催された予選会の参加者数。のべ2506人で、本選に勝ち残ったアマチュア89人(うち女性14人)は、1次、2次、最終と3回にわたる予選会を突破してきた人たちだ。「何度となく予選会で敗れて、今年初めての本選です。ワクワク、ドキドキでしたが楽しかった」という人、「井戸木プロの大ファンで、スイングもウエアもマネしています。同組で回れるなんて光栄でしたが緊張しましたぁ~」という人、さらにはプロを抑えて総合優勝したアマチュアの岩崎一明さんのように「10年続けて本選に出られているんですが、目標だった総合優勝ができて感無量です」という猛者もいるが、参加者それぞれ、大会が大きな目標となっているのは確か。所属コースない人、県外からの人の参加も増えてきている。
大会中、二人のアマチュアがホールインワン。村田文男さんは213ヤードのホールで決めた
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全国にも例がないプロ・アマ合同の大会を兵庫県ゴルフ連盟が始めたきっかけとは何だったのか。そのヒントは「のじぎく」という大会名にある。2006年、兵庫県で「のじぎく国体」(のじぎくが兵庫県花)が開催。県下の各スポーツ団体が”ONE TEAM”となって国体は成功したが、その折に井戸敏三兵庫県知事が「国体をきっかけに各団体が新たな事業を行ってスポーツの活性化を図ろうではないか」と働きかけたのだ。

そこで同連盟は「全国のどこにもないものをやろうと」と決意。活性化にはトーナメントがいちばんだが、何とかアマチュアが参加できるようにして底辺拡大を図れないだろうかと思案した結果が、アマチュアはハンディをもって戦える「のじぎくオープン」だったのだ。もともとハンディはレベルが異なるプレーヤーが同じ競技で戦えるようにするためのもの。基本に戻りつつ、これにプロの参加を加えたところが斬新だった。ハンディ15や20の人がプロと試合で戦えるのだから、チャレンジしてみたいというアマチュアゴルファーは少なくないはずだ(過去の大会の総合優勝者は男女プロだけでなく、アマチュアの男女からも出ている)。
田中正志理事と鈴木一誠大会会長(廣野GC理事長)
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2007年の第1回大会は、国体と同じ宝塚ゴルフ倶楽部で開催。以来、広い兵庫県の東地区、中地区、西地区で開催コースを持ち回り。毎回コースが違うのもまた参加者には魅力だろう。ちなみに「のじぎく」と冠された競技には、別の日時で1チーム6人のアンダーハンディ戦「のじぎくチーム戦」もあり、おそろいのウエアをつくったり、女性6人で参加したりと、こちらも盛り上がりをみせているという。

ただ、13回大会すべてが順調に開催されてきたわけではない。ずっと大会に携わってきた同連盟の田中正志理事は毎回、新しい課題をクリアして積み重ねてきているという。たとえばハンディだ。「当初、JGAハンディに基づいてスコア集計すると甘いハンディによって大きなアンダーが出てしまうことが時にありました。それを許していては、不公平感を与えて参加者を減らすことになります。そこでJGAの許可をもらい、1次、2次、最終予選のスコアをすべて集計して、大会独自のハンディを設定したりもしているのです。みんなに喜んでもらえる大会にし、アマチュアゴルファーを育てていくのが目的ですから」(田中氏)
スコア速報のトップ画面。会場に掲示されたQRコードをスキャンすると見られた
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また、今年からはスマホで見られるスコア速報を始めたことも画期的だ。大会会場に表示されているQRコードをスキャンすると専用サイトが見られるようになり、各ホールのボランティアがアイパッドでスコア入力したものが、すぐに速報に反映される。そうした一歩一歩の進歩が、13回の歴史をつくっているといえる。「トップだけのオープン競技ではゴルフは広がりません。底辺から広げていかないと。少子化、高齢化対策のためにも大会を続けていきたいです」(田中氏)

こうした大会が各県で開かれることができれば日本のゴルフ界の底辺拡大に大きな効果がきたいできそうだ。そう考えれば、日本ゴルフ協会(JGA)が率先して行うべきもののようにも思える。JGAは「JGA杯J-sysゴルフ選手権(JGAアンダーハンディキャップ競技)」を毎年実施しているものの、これはあくまでアマチュアの大会。プロとアマがいっしょに戦うとなるとプロに対して賞金を用意しなければならないが、JGAが主催するには資金がないのが事実だ。では、兵庫県ゴルフ連盟のように各都道府県ゴルフ連盟が自前で行うにしても、台所事情は厳しい連盟が多数と聞く。
多くの地元スポンサーも大会を支えている
多くの地元スポンサーも大会を支えている 【拡大】
では、大会の賞金そして運営資金をどこから出すのか。ゴルフ場利用税を徴収している各都道府県からもらってくるべきという意見がある。JGAを初めとしてゴルフ関係団体の総意としてゴルフ場利用税の撤廃を長年訴えてきているが、税を徴収している自治体がそに同意するのは現状では難しい。ならば、税収の一部をゴルフというスポーツの振興のために出してもらうほうが現実的ではないかという案だ。これならば自治体も税収は確保でき、一部にゴルフに還元するのにも健康増進という大義名分が立つ。

「のじぎくオープン」がゴルフ界活性化の一つの答えであることは、13年間、毎年平均2500人以上の参加者を集めていることが実証している。このノウハウを参考に「ウチもやる!」と手を挙げる都道府県が一つでも増えていくことを祈るばかりだ。

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