アンカリング禁止ルール施行から2年、自分のスタイルを見つけた選手たち

試行錯誤の末、中尺をクローグリップで握るスタイルに落ち着いたウェブ・シンプソンが復活優勝を遂げた 写真・Getty Images
試行錯誤の末、中尺をクローグリップで握るスタイルに落ち着いたウェブ・シンプソンが復活優勝を遂げた 写真・Getty Images 【拡大】
 第5のメジャーと呼ばれるザ・プレーヤーズ選手権で、2012年の全米オープンチャンピオン、ウェブ・シンプソンが復活優勝を遂げた。

 全米オープンに優勝したとき、シンプソンは長尺パターを胸で固定して打つ、いわゆるアンカリングでパッティングをしていた。「長尺パターはメジャーに勝てない」といわれた時代もあったが、11年にキーガン・ブラッドリーが全米プロゴルフ選手権を制し、翌年、シンプソンが全米オープン、アーニー・エルスが全英オープン、13年はアダム・スコットがマスターズを制したことをきっかけに、16年にアンカリング禁止ルールが施行された。

 アンカリングスタイルでパットをしていた選手がそれぞれ対処に悩む中、シンプソンは14年秋、ルール施行までまだ1年以上あるにもかかわらず、短いパターに移行。

「ライダーカップを1敗1分けの成績で終えて、日本でダンロップフェニックスに出る直前だった。もう長尺は使用しないと決めたのに『あと1試合だけ……』と思ってしまった。そんな自分の心の弱さが嫌で、その場で2度と手にしないようヒザで二つに折ってしまったんだ」

 そのパターは妻が拾い上げ、全米オープン勝利の記念としてトロフィーとともに自宅に飾られているという。

 シンプソンはこの2年余り、思ったようにパットが打てず苦しんできた。

 転機はちょうど1年前のザ・プレーヤーズ選手権。同じようにアンカリングでパッティングしていたティム・クラークから「クローグリップを試してみたら」と助言を受けたことだった。

「やってみたら、ものすごくいい転がりだった。もう2度といいパットが打てないのではないかと思った時期もあったが、今は自分のキャリアで最高のパットが打てている。そう思えるのもアンカリングが禁止になったからこそ。今となってはルール改正に感謝している」(シンプソン)

 そして、中尺パターを左腕で支えてクローグリップで握るスタイルに落ち着いた。

 この大会で新たなスタイルを見つけた、元アンカリングスタイルの選手が、もう一人いる。

 アダム・スコットはルール施行後、普通の長さのパターをクローグリップで握り、うまくいっている時期もあったが、昨年はパットで苦しんだ。影響を受けたのはチャンピオンズツアーで今も長尺パターを使用するベルンハルト・ランガーとスコット・マッキャロンの活躍だ。

「彼らは長尺を体につけずに打つ方法を見いだした。僕も挑戦してみたいと思う」

 と昨年末から準備し、この大会で長尺パターに戻して11位タイに。大いに手応えをつかんだ。

 アンカリングから新たなスタイルを見つけた選手たちが、今後どう調子を戻していくか注目だ。

文・武川玲子
※週刊パーゴルフ(2018年6月5日号)掲載


武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国・ロサンゼルスを拠点に、米PGA、LPGAツアーを精力的に取材している。2011年にはその綿密な取材活動をたたえられ、LPGAグローバルメディア賞を受賞している。

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