森功 芝と冠 企業人たちのトーナメント 富士通レディース「40年目を迎えたチャリティの先駆け」(1)


富士通レディースは多くのトーナメントと違い、プロアマチャリティありきで始まった

華々しいトーナメントの舞台裏で戦う企業人の姿を活写する好評連載の第6弾は、昨年度大会で35周年を迎えた富士通レディース。通常はツアー競技の付属物と見なされるプロアマ大会だが、この大会はいささか事情が異なる。35年間一貫して富士通の看板を掲げて開催されてきた安定感のある大会でありながら、一風変わっている。そんな富士通レディースの歴史をひもといてみよう。

最初は富士通の名すら出していなかった

昨年から大会名誉顧問を務める富士通会長の山本正已。80年代ワープロの全盛期に代名詞的存在だった〈OASYS〉の開発にも携わった技術畑出身の経営者。ゴルフの腕前は「最近は(スコアカードを)出してないから分からないけど、一番よかったときで(ハンディキャップ)11ですね」
昨年から大会名誉顧問を務める富士通会長の山本正已。80年代ワープロの全盛期に代名詞的存在だった〈OASYS〉の開発にも携わった技術畑出身の経営者。ゴルフの腕前は「最近は(スコアカードを)出してないから分からないけど、一番よかったときで(ハンディキャップ)11ですね」 【拡大】
 日米プロアマチャリティゴルフ――。富士通レディースの前身が、チャリティ大会だったことは知る人ぞ知るところだが、チャリティ大会の名称には富士通の冠がなかった。富士通会長で一昨年まで富士通レディース大会会長を務めた山本正已(63)に聞いた。

「もともとはプロゴルフトーナメントというより、チャリティゴルフ。プロとアマの人たちが、一緒にスポーツを楽しんで盛り上げよう、という人と人とのコミュニケーションがテーマだったと思います。それがものすごく評判がよかったので、プロアマチャリティを5年続けた後、LPGA(日本女子プロゴルフ協会)から、トーナメントもやってください、という話があり、スタートしたのが富士通レディースです。今でもプロアマを大事にしているという点では、他のトーナメントと同じではありますが、始まりがチャリティなので、その辺りは他とは少し異なると思います」

 追って詳述するが、富士通はゴルフに限らずプロスポーツ界とのつながりが深く、それがビジネスにもなっている。ただし、多くのゴルフトーナメントがプロアマチャリティーや大会前夜祭を営業ツールとして利用しているのとは、成り立ちが違う。

「うちの場合、スポーツ全体の底上げをしたいという願いがあって、それがゴルフや陸上、バスケットボール、サッカーのスポンサーになっている理由でもあります。ゴルフでいえば、トーナメントについて経営の浮き沈みで途中でやめる企業もありますが、幸いうちはそれがなく、今度(2017年)の大会は“チャリティ”から数えて40年、ずっと継続できています。そこには、富士通のスポーツに対する思い入れが一つのベースになっていると思います」

 富士通レディースの原点ともいえる「日米プロアマチャリティ」は、富士通の創業時からコンピューター開発を提唱し、業界の巨人「IBM」に挑んだ小林大祐が社長だった1978年に始めたものだ。「とにかくやってみろ。やってから文句をいえ」と、ワープロ〈OASYS〉シリーズ販売の陣頭指揮を執ったことでも知られる名経営者だ。

「もうその時代の人が残っていないので伝え聞いたところによると、“チャリティ”は小林大祐が榊原記念病院の院長さんに頼まれてやりだしたらしい。昔の人は頼まれたら断らない。そういう大らかな人間関係の中から始まったんだそうです。その小林の意思を受け継ぎ、継続は力なりで、日本社会に貢献するチャリティとしてトーナメントを続けてこられたと自負しています」

 トーナメントの大会会長であった山本にして、“チャリティ”の起こりについて詳細は不明だという。いまや社内にその辺りを語れる社員が皆無なほど歴史の長い大会だ。

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